The 28th International Conference
for Women in Business
第28回
国際女性ビジネス会議

CONFERENCE SESSION

カンファレンスセッション

カンファレンスセッション各地の最高を発掘する

外からのダイバーシティな発想が、地方の新しい価値を引き出す

玉村 豊男氏

玉村 豊男氏TOYOO TAMAMURA

エッセイスト

「今日はここまでダイバーシティの、経済や政治の話をしてきましたが、最後には日本のさまざまな地域の話をしたいと思います」と、ファシリーテーターをつとめる佐々木かをりがトークショーのラストセッションへと誘います。

まず、鎌田由美子さんがスライドを提示しながら自己紹介とこれまでのキャリアを振り返ります。新卒でJR東日本に入社、30代でエキナカビジネスを立ち上げ、「ecute」の運営会社社長に。しかしながら一生続けていきたいと思う仕事についたのは40歳を過ぎてから。青森のシードル工房で、地域を巻き込むこと、地域に産業が広がることの大きさと楽しさを学んだといいます。その後、5年前に株式会社ONE・GLOCALという会社を立ち上げ、10のうち9は捨てるという農業の、希少素材や未利用資源を活用した「ものづくり」や農産物のブランディングなどをおこなっています。
「捨てられているものに農とは異なるマーケットに価値があり、お金にもなる。そういう価値に気づくのは、むしろ“よそもの”であり、ダイバーシティな発想。そういった人たちをインクルージョンできるかが地方を大きく変えて行くと私は思っています」

鎌田 由美子氏

鎌田 由美子氏Yumiko Kamada

株式会社ONE・GLOCAL代表取締役

続いてエッセイスト・画家・ワイナリーオーナーの玉村豊男さんは、美しい北アルプスを望む景色のスライドを映しながら、「僕は企業や社会に関わりたくないと思ってずっとフリーランスでやってきた。今日は色物として参加させてもらっています(笑)」とジョークを交えながら、30年の歴史を語ります。
45歳ぐらいのとき、「景色で決めた」という長野県東御市に移り住み、夫婦二人で農地を開墾し、自ら山林を切り開いて道路をつくり、井戸も堀った。農地が広いのでブドウでもつくってみるかということになり、みんなに難しいぞと言われながら続けていたら良いブドウができるようになった。それで今度はワイナリーをつくり、今では年間3万本のワインを生産、日本ワインの一翼を担ってきている。20年前にカジュアルフレンチレストラン「ヴィラデスト」を開店、ガーデンのハーブはもちろん、牛や羊、鶏なども土地の食材を使った料理とワインが人気。さらに68歳でワインアカデミーも開設し…と、チャレンジの連続を楽しげに話してくださいました。

ここで佐々木かをりが、「玉村さんは、みんながやったことのないことをやるのが好きなんですよね?」と水を向けると、「僕は、目標をたてて何年計画でやる人ではなくて、目の前に面白そうなことがあるとやってみようと思う。ワイナリーをつくろうとしたとき、みんなに失敗したらどうすると言われたが、先のわからないことをやりたかった。計算はないけど幸運はあるんです」と玉村さん。

続いて鎌田さんに問いかけます。「今までの考え方だとお金にならない、というものに鎌田さんは価値を見出したわけですよね。そういう外からのダイバーシティな発想は、農家の人からしたら“素人が何を言っているんだ”と思われたかもしれません。そこにはチャレンジがあった?」

鎌田さんは、「玉村さんのお話もそうですけど、新しいことってわくわくしますよね。その先に道はないからチャレンジだけど、でも自分には見えている世界があり、そこに向かって頑張っていると地元の人が助けてくれたり、横にも一緒に歩く人がいてくれたりします」

さらに玉村さんからこんな名言が飛び出します。「何かやろうと思った時に、まず一歩踏み出してみないと未来の風景は見えない。踏み出すと人との出会いがあったりして、なんかうまくいっちゃう。うまくいかなかった時は運が悪いと思って、そこからまた道を見つければいい。失敗だと思わなきゃ、失敗じゃない!」

最後に佐々木かをりの一言。「お二人の話を聞いて、みなさんは、これからの人生、色々なステージの中で新しいドアが開くことを感じていただけたのではないかと思います。お二人が発掘された最高のもののように、日本全国にはたくさん色々な宝物がある。世界中のまだ見つけられていないものを見つけて、応援して、豊かにしていきたいと思います」

豊かなエピソードが語られた楽しいトークセッションが終わり、会場のみなさんは軽やかな足取りでネットワーキングパーティへと急ぎます。

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