The 28th International Conference
for Women in Business
第28回
国際女性ビジネス会議

AFTERNOON SESSION

アフタヌーンセッション

アフタヌーンセッションアスリートから見える“challenge”

諦めるのはもったいない。ぶつかってくることに対処すると学びになる

岡崎 朋美氏

岡崎 朋美氏Tomomi Okazaki

元スピードスケート日本代表

多くのアスリートの生き様を映し出すドキュメンタリーを製作し、テレビ朝日で数々のストーリーを紹介してこられたスポーツ文化ジャーナリストの宮嶋泰子さんが、長年取材されてきた元スピードスケート日本代表、岡崎朋美さんの「チャレンジ」に迫るトークショー。

まず、宮嶋さんが2020年に制作された岡崎さんのドキュメンタリー映像が画面に共有され、「チャレンジを地でゆく50年間だったのですね」という言葉に笑顔で答える岡崎さん。大自然の中でのびのび自由に過ごした子ども時代、小学3年で本格的にスケートを始めたこと、インターハイではメダルを取れなかったこと、「太ももに惚れ込んだ、ある監督」に声をかけられて実業団に入ったのが最初のチャレンジと、青春時代を振り返ります。

初めてオリンピックに出場したのはリレハンメル。その時は「橋本聖子さんと同じ舞台に立ちたい思いが強かった」と言います。事前には橋本聖子さんと一緒にトレーニングも行ったそうです。
「大舞台で自己ベストが出せるのがすごい!」と宮嶋さんが絶賛すると岡崎さんは淡々と「大舞台でパフォーマンスできるのが楽しかった。のびのびと体が動いて柔軟性が出ると成績もでます」

宮嶋 泰子氏

宮嶋 泰子氏Yasuko Miyajima

スポーツ文化ジャーナリスト
カルティベータ代表

そして、その頃使用していたノーマルスケート用のシューズをスタジオに持ってきてくださり、手に持って披露。「当時、このノーマルスケートでは世界2位の記録を出しました。すごかったんです(笑)」
しかしその後、スケート靴がスラップスケートに変更されて、ゼロからやり直すことになった。変更になったのは長野五輪のわずか1年前。
「昔のことは忘れて新しい靴に集中して、攻略するために朝から晩までミルウォーキーで練習していました。結果、長野で銅メダルが取れて安堵の気持ちでした」と当時の気持ちを明かします。披露いただいたスラップスケート靴は、見た目もノーマルスケート靴とは全く違い、刃がついている部分が踵から外れ、ぱかぱかと動きます!

すかさず宮嶋さんが「それで引退ですかと聞いたら、いやいやとんでもない、スラップスケートをまだ攻略してないのでとおっしゃいましたよね」と当時のインタビューを振り返ります。「スポーツはチャレンジの連続、岡崎さんは次から次へと難問にチャレンジしてきました」
その後ヘルニアの手術、厳しいリハビリを経て、その後のトリノ五輪では「0.05秒の差で4位でした。メダルが欲しかったし、色々とアクシデントはありましたが、それも人生かなと」岡崎さん。

2010年バンクーバー五輪では選手団の旗手をつとめ、同年に出産。「子どもを産んでからアスリートの体に戻していくチャレンジもしたいと思った。諦めるのはもったいない、自分にぶつかってくることを、うまく対処するほうが学びになるかなと、いつも思います」と何でもないかの如く笑顔で話します。

現役引退後、6年のブランクを超えて2020年、48歳で「マスターズ国際スプリントゲームス」で世界記録を更新、金メダルを獲得された岡崎さん。現在はコーチングの勉強もしており、今後は「スケートに限らず色々なスポーツをみていて、自分に言えることがあれば色々なところに口出しができると良いと思っています」

「常にチャレンジし続けている岡崎さんでした」という宮嶋さんの言葉通り、アスリートとしても一人の人間としても「I Challenge」を体現されている岡崎さんと、そのアスリートを知り尽くし、魅力を引き出し続ける宮嶋さんの取材力と人間力ならではの説得力のある、力強くも温かいお二人のトークでした。

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