The 28th International Conference
for Women in Business
第28回
国際女性ビジネス会議

MORNING SESSION

モーニングセッション

モーニングセッションダイバーシティ経営で世界市場へ

同質性の高い組織における死角は、企業経営にとって大きなリスク。

森田 隆之氏

森田 隆之氏Takayuki Morita

NEC 代表執行役社長 兼 CEO

東京のメインステージでは、NEC代表執行役社長兼CEOの森田隆之さんと佐々木かをりのトークショーが始まりました。「ダイバーシティ経営で世界市場へ」をテーマに、CEOとしての挑戦、海外拠点でのダイバーシティや、最近発表されたばかりのNECの生成AIについてなど、興味深い話題が次々に繰り出されました。

早速、佐々木かをりが「NECでは今年、2名の外国籍の方が役員になられましたが、どうですか?」と投げかけます。「外国籍の方もそうですが、女性の役員が入ると新しい視点が出てきて。意思決定の質が上がると思います」と答える森田CEOに、「本当に?」と笑顔で突っ込むと、森田CEOは言葉を重ねて丁寧に説明。
「違うバックグラウンド、違う視点というのはものすごく重要です。同質性の高い人たちだけでは、見えない部分、死角ができてしまう。それが企業経営にとってはものすごく大きなリスクなのです。ハッと気付かされること、言われてみて改めて考えると“そうかな”と思うことなどが多い。良いところは取り入れるオープンな気持ちが必要だと思います」

2021年4月にCEOに就任された森田さん。最初の1年は、まずコミュニケーションを重視し、あらゆる機会を使って自分が何を考えているかを知ってもらい、それによって信頼関係をつくることに終始した。積極的にメディアに出て、自らSNS(LinkedIn)なども活用して情報発信していると言います。「それが今、NECが元気になった印象つながっているのではないか」と佐々木かをり。

続いて、日本の会社であると同時に市場がグローバルであるNECのグルーバル経営へと話題が進みます。

森田CEOは、グローバル経営の前提にある想いをこう語ります。「根っこは日本なのだから、そこに自信を持って、海外に出るときは日本を代表している気持ちをもちつつ恥ずかしがらずに主張することが重要」

佐々木 かをり氏

佐々木 かをり氏Kaori Sasaki

株式会社イー・ウーマン代表取締役社長

また、会社は目的組織であり、NECの場合は社会価値創造というパーパスがある。先ほどのランドバーグさんのお話にもあったように、事業をスケールするためには、その価値、方向性を共有している組織が強いと、ラグビーチームの例を挙げて話されました。

海外拠点については、「ここ数年、ヨーロッパで大きなM&Aをいくつか行い、今はまだカルチャーも異なる」と言い、M&Aでよく議論になる「完全にインテグレーションするか、それぞれに任せるのか」についての考えを述べます。「僕はどちらでもないと思う。M&Aのシーンでもダイバーシティの良さを生かす。文化の良さを互いに認め合い、相手の良いところを取り入れて互いの成長に生かしていくことが大事。そのためには共通する目標や、コミュニケーションや意思決定のグランドルールはしっかりしておかなければいけない」

最後に佐々木かをりが、「顔認証では世界一のNEC。森田CEOのI Challengeは?」と問います。それは、先週発表した高度な日本語能力を有する生成AIであると森田CEO。
「一番に出すことが大事なので、とにかく急いで、みんなが一所懸命やってくれて、その場で見せられるものを出した。このままでは、日本語が廃れてしまうのではないかという危機感から、日本語の“よいところ”や“機微”が活きる、日本語をベースにした生成AIを作ることが急務だと考えた。時期を見て、他言語をベースにした生成AIとも連携したい。NECは顔認証技術で、人種、性別で認識率に差がない状態を実現した。生成AIでも同様に(言語で差がでないよう)ダイバーシティの実現を目指したい」とトークを締めくくりました。

業績もイメージも元気な企業、NEC。その要因がダイバーシティ経営とリーダーシップにもあることを強く印象付けるトークショーとなりました。

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