REPORT円卓会議

円卓会議2

年齢ダイバーシティ。若者と作る未来の組織

多世代が協働するには、お互い「わからない」を大切に、好奇心と敬意をもって

大塚 桃奈氏Momona Otsuka

株式会社BIG EYE COMPANY Chief Environmental Officer(CEO)

「年齢ダイバーシティ」を意識したことがありますか。多様性が重要なのは、ジェンダーばかりではありません。様々な年齢の人が居るコミュニティやビジネスの場で、若者もシニアも年齢に関係なく力を発揮できることが、より良い社会をつくるために重要です。この円卓会議2では、いま注目の20代として、昨年登壇されて注目を集めた大塚桃奈さんと、初登場の能條桃子さん、そしてファシリテーターをつとめる50代の浜田敬子さんが、年齢ダイバーシティの現状や課題をディスカッションします。

徳島県上勝町、山間にある人口1,500人程の町に大学卒業とともに移住。ゴミ問題を通じて循環型社会の実現を目指し、上勝町ゼロ・ウェイストセンターの運営に携わる大塚桃奈さんは、この高齢化の限界集落に若い世代をどう巻き込んで行くかが一つの大きな課題とし、「そこに若い人が関わるチャンスがある。ゼロ・ウェイストをきっかけに移住した20代30代も多い」と言います。

デンマーク留学で若い人たちがカジュアルに政治の話をするのを見て、日本に「参加型デモクラシー」のある社会をつくろうと思い、「NO YOUTH NO JAPAN」を立ち上げて活動展開する能條桃子さんは、デンマークと日本の根本的な違いをこう指摘します。
「デンマークでは、学生には学生にしかわからない視点があるからと、それぞれの立場での意見が重視されます。日本では、政治の話題に限らず、自分の声で話して何かを変えて行く成功体験がない人が多いと思います」

能條 桃子氏Momoko Nojo

一般社団法人NO YOUTH NO JAPAN代表理事

1989年に朝日新聞に入社、『AERA』を通じて同世代の女性の生きづらさ、働きづらさを取り上げてきた浜田敬子さんは、50歳で転職して『Business Insider Japan』を立ち上げ、「Z世代」に取材をするようになって印象的なことがあったといいます。
Z世代はバブル世代と明らかに違って、キャリアの選択肢が色々あり、その選択肢が政治や地域の課題などパブリックな方向にも広がっている。
「“利他的”と言えばいいでしょうか、地域や社会に貢献したいという意識の人が明らかに多いんです。この世代の価値観が日本の希望になると、私は確信しました」

この会議は、浜田さんの的を射た質問に、若いお二人が忌憚なく話すというスタイルではどんどん進行していきます。
「同世代で一緒にやっていくのか、それとも、価値観で結ばれた人が世代を超えてやっていくか。どちらに重きを置きますか?」という浜田さんの問いには、「ちょうど今その二つの軸で迷っていた」と大塚さん。「ジェンダーとか政治の話とか、課題ありきが優先。でも関心のない人に届けるという意味では同世代に伝えないと!」と能條さん。

浜田さんが、2000年代から取り組んできたジェンダーギャップに対するアプローチがここ数年で変わった背景には若い世代の影響力が大きく、そこから学ぶものが多かったという貴重なストーリーを明かし、ぐっと話題が深まったところで、後半の参加者を交えた質疑応答へと突入。

浜田 敬子氏Keiko Hamada

ジャーナリスト/
前Business Insider Japan統括編集長/AERA元編集長

世代間のコミュニケーションギャップを埋めるには? 若い人たちに入社したいと思ってもらうにはどうすればいい? どうやって現在の立場に行けたかなど、参加者のみなさんからの真摯な問いに、3人のスピーカーが的確に心を込めて答え、和やかで示唆に富んだ時間となりました。

最後は、上の世代にこうあって欲しいというメッセージ。
「若い人に希望を託し過ぎず、“若い人”というラベルを貼らないで欲しい」と能條さん。
「わからないということを大切にして、距離感と節度をもって尊重して欲しい」と大塚さん。
浜田さんの「好奇心と敬意をもって付き合うことが大切ですね」の一言に参加者も大きく頷いたところで閉会となりました。

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