REPORTオープニングセッション

オープニングセッション

Think Again

「どんなアクションが起こせるか」を、今こそ考え直すとき。

堀江 愛利氏Ari Horie

Women’s Startup Lab Impact Foundation CEO

2013年、シリコンバレーで初めて女性に特化したアクセラレーター"Women's Startup Lab"を創業した堀江愛利さん。世界に名だたる起業家が集まりながら、女性への投資は進んでいないこの地で、今思うことは? 会議当日は日本にいらした堀江さんが東京のメインステージに登場し、英語でスピーチを行います。

「私は広島出身です。『周りのことを気にしなさい。あまり質問をするな』と、言われながら育てられました」

話題は現在の活躍からは結び付かない、意外な幼少期の環境から始まりました。そんな日々を重ねる中でも、「日本人として、女性として、世界に何ができるか」を考えたと言います。

カリフォルニア州立大を卒業後、米IBMに就職。その後スタートアップなどの経験をもとに起業した堀江さん。女性にフォーカスした理由は、圧倒的に男性目線で動いているシリコンバレーに危機感を感じたからと言う。実際にベンチャーファンドのわずか3%しか女性起業家に投資されていない事実など、女性への支援が足りないと語ります。そして、「私たちはやらなければならないことを、もう少し進めたい。そんなわけで今日は、“Think Again”をタイトルとしました」と、言葉に力を込めます。

「皆さん、もう一度考え直してください。例えば男性と話すときに、『女性を支援しますか?』と聞くと、YESという答えが返ってくるでしょう。それは、自分はもう出来ていると思う確認でしかなく、それは質問自体が間違った質問なのです。質問を変えなければなりません。つまり、気づかせること。『あなたは女性に対してのバイアスがあると思っていますか?』と。おそらく、男性はそんなものがあるとは思っていません。ただ、気づきはじめる一歩になるかも知れません」

さらに、「データで事実を伝えるのは簡単です。でも、そこで辞めず、『どんなアクションを起こせるのか、それをDriveしたいのか?』を相手に尋ねて見て下さい。アクションがあってこそ気づきも変化も起こるのです」

今すぐに、私たちにできる次のステップを具体的に語ります。

「アクティビストになる必要はありません。小さな一歩でも、何百万という人がそれをすれば社会の変容につながります」

例えば消費も、社会とのコミュニケーションであると堀江さんは言います。どこにお金を使うのかを考え、女性が経営するビジネスをサポートすることは、一人ひとりができる社会貢献につながると、すぐに実践できるアクションを発信してくれました。

「私たちは思っている以上にバイアス、偏見があります。自分は学生だから、会社員だから社会に変化を起こせない、などと思う必要はない。出来ないと思い込む必要はありません。今日、あなたは何ができるのかを、もう一回考えてみてください。“Think Again”です!」

自分を見つめ直すことから始まるダイバーシティ。一人ひとりの新たな視点が得られたスピーチでした。

INDEX各レポートを読む