REPORTイブニングセッション
イブニングセッション
Driving diversity through advertising
広告表現でダイバーシティ社会を前進させる
タイデ・グアジャルド氏Taide Guajardo Vite
プロクター・アンド・ギャンブル 欧州ブランド シニア・バイス ・プレジデント
P&Gの欧州のトップ「ブランド シニア・バイス ・プレジデント」として、テレビC Mからデジタルまで、49か国の広告やセールスプロモーションを統括するタイデ・グアジャルドさん。スイスのジュネーブから、広告表現を通じたダイバーシティの加速について語ります。
「はじめに、インスピレーションの話をしたいと思います」と、タイデさん。まず本国アメリカで放送されてきたP&G社のCMを2つ流します。「不況や災害が起こるたび、男女平等は後退してきました。犠牲を払うのは、いつも女性です」というナレーションとともに、家事負担の大きい女性の現実が映し出されます。「家庭でも職場でも、今すぐ平等を選択しましょう。平等な未来のために」とCMは締めくくられました。
タイデさんは、その映像を受けて語ります。
「P&Gがどんな広告宣伝をしてきたか、今お見せしたC Mでおわかりいただいたかと思います。私たちの文化、意識は、いろいろなかたちで形成されます。家族の様子、育った環境、友人。そして、もちろん広告宣伝も、影響を及ぼします」
そして、明らかな女性蔑視が見られる過去の広告も共有されました。「これは作った広告会社が悪いわけではない。業界として、社会に与える影響を十分に考えてこなかった時代があったともいえると思います」と、広告業界全体の課題として捉える重要性を訴えます。
「180年間もの長い間、P&Gは人々に愛されて信頼されてきました。そういった状況には、責任が伴います。私たちは対話を促進し、人びとの振る舞いに前向きな変化をもたらす責任があるわけです」
そのために企業が取り組むことのできる、2つの方法をシェアしましょう。1つ目は、すべてのメディアで、実際の社会と同じ割合で人々を登場させ、ジェンダー、人種、民族、性的自認などに対してバイアスをなくし、すべての人類を代表するような描き方をするということ。そして2つ目は、企業としての意見・意思を発信するということ。
ここでまた、それぞれの事例として、各国で展開してきたCMを次々と紹介しながら話を続けます。男性が家事や子育てをするシーンのあるC M、「女の子らしく」という言葉に縛られない凛とした少女が行動変革をしていくC M、トランスジェンダーの人が登場するC M、年齢や人種、障害を乗り越えて生き生きと暮らす人々……。
「広告宣伝は、企業ブランドの人気を高めるためだけにとどまらず、もっと優れたこともできる。企業は、自身の成長をとげながら、よい良い『善』を発信する力があるのです」と、タイデさんは明言しました。
10本以上のCMや広告を例に挙げ、49カ国の広告・プロモーションを統括している彼女だからこそ話せる、日々の仕事を通じて実践してきた企業と広告の役割が力強く伝えられました。広告が支援できるダイバーシティ社会のあり方についてダイナミックなプレゼンテーションを行ったタイデさん。最後に佐々木かをりのリクエストにより、日曜日の朝を迎えたジュネーブのご自宅の窓の外に広がる美しいのレマン湖を見せてくれました。