REPORTオープニングセッション
オープニングセッション
フロンティアを超えよう
人間力を駆使してあらゆる障がいを超え、新しい世界をつくる。
中谷 好江氏Yoshie Nakatani
駐パラグアイ日本国特命全権大使
世界では今、日本国大使が約150人駐在し、5人が女性です。その1人である中谷好江さんが、南米パラグアイから登場! 日本とは地球の反対側、夜の9時半を迎える国から、ダイバーシティに向けた取り組みを語ります。
まず中谷さんが見せてくれたのは、それぞれに違う時間を示す4つの時計です。
「私がパラグアイ、夫がアフリカのジブチ共和国の大使、長女が南フランスでカフェを営み、次女は日本におります。不思議な家族でございます」
まさに、ダイバーシティを体現しているご家族。時計は、4人それぞれが住む国が今何時なのかがすぐにわかるようにと、用意されたものだそうです。
ご家族の楽しい話題からはじまったスピーチは、パラグアイの紹介へ。「政治的にも経済的にも安定している、いろんな魅力を秘めた国。世界最大級の水力発電ダムがあり、クリーンエネルギーを発電している国ということもお伝えしたい」と、街やダムの写真を画面共有します。また、86年前に日本人が移住し、現在は1万人の日系人が活躍しているとのこと。日系人の誠実さや勤勉さが美徳として愛され、「パラグアイは圧倒的に、“超”親日国」と、中谷さんが笑顔で語ります。
中谷さんは2017年、日系人の女性活躍をサポートする「パラグアイ日系女性の会」を発足しました。その活動における大切なことは、このスピーチのテーマである「フロンティアを超えよう」ということだと力を込めます。
「『フロンティア』をカタカナにしたのは、国境という意味だけでなく、年齢、性別、言語、文化、既成概念など、ダイバーシティを妨げるさまざまな障がいを超えよう、ということ。『超』の字を使ったのは、その先を目指そう、新しい世界をつくっていこうという意味です」
そのために心掛けていることは「人間力」と、中谷さんは強調します。
「問われるのは日本という看板力。日本だから信頼できると言われるように努めるのが外交官で、そのトップが大使ですが、最後は人間力だと思っています。中谷大使に頼まれたから、日本の主張・政策を支持すると言っていただけるような人間力をつけることが、私の取り組みです」
そして、大きなビジョンを掲げること、自分で決めて責任を取ること、健康であること、家族や周囲の人々の協力感謝など、フロンティア超えてこられた背景を具体的にシェアしてくださいました。
「社会を変える始まりは、個々人の強い想いと行動です。人間力を駆使して、ダイバーシティを進めていかなければと」とパワフルに語る中谷さん。最後に「Drive Diversity! 一緒に、よりよい社会をつくっていきましょう」と参加者に呼びかけ、力強く締めくくりました。