REPORTアフタヌーンセッション
アフタヌーンセッション
撮影現場での心理的安全性インティマシーコーディネーター
みんなが健全な環境で仕事できたら、エンパワーメントできる!
水原 希子氏Kiko Mizuhara
女優、モデル、デザイナー
インスタグラムでは650万人以上のフォロワーがいる女優・モデル・デザイナーの水原希子さんが登場。佐々木かをりとのトークショーです。
水原さんは映画の撮影現場で起きた過去の被害について声をあげ、また、日本で初めて「インティマシーコーディネーター」を撮影現場に導入。佐々木かをりが水原さんにマイクを向けます。
「私がダイバーシティというキーワードで仕事をしてきている中でも、心理的安全性は企業が注目するホットなキーワード。この点に関して芸能界、映画界で一番発言されているのが水原さんだと思います。いま一番伝えたいことは?」
過去の映画撮影の場でプロデューサーから望まない露出を強要された体験について水原さんは、「私としては、何故その露出が必要なのか、きちんと説明をしてもらい、理解する必要があった。自分への負担も大きく、また一生残されるものなので、説明がないまま承諾する事が出来なかった。クリエイティブな部分で、なぜそのシーンが必要なのか、コミュニケーションがとれなかったことに違和感と不信感を感じた」と言います。
佐々木 かをり氏Kaori Sasaki
株式会社イー・ウーマン代表取締役社長
株式会社ユニカルインターナショナル代表取締役社長
国際女性ビジネス会議 創設者・総合プロデューサー・実行委員長
ちょうどその頃、アメリカの俳優の友人から「インティマシーコーディネーター」という職業を教えられ、「私にとって必要な存在だ!」と思い、日本で初めて導入することに。インティマシーコーディネーターとは、映画やドラマでラブシーンなどの極めて親密な、性的なシーンを撮影する際、俳優が安心できる撮影の環境作りをサポートする仕事です。
「日本で初めてというのはチャレンジングではありましたが、私としては自分の大切なシーンを守ってほしいという思いとともに、現場に対して、“出演者はちゃんと守られるべき”ということを示したかったのです」
深く頷きながら佐々木かをりから、「今日参加されている方の多くはビジネスの世界に身を置かれていますが、職場でもパワハラがあったり、上司や取引先からの圧力がかかったりすることがあります。でもそれを指摘すると“あいつうるさい”と外されたり無視されたり、拒んだら仕事がこなくなったり、裏で悪口を言われたりすることもある。そんなリスクがある中、声をあげようと思ったのはなぜですか。覚悟が必要でしたね?」
辛い体験は思い出したくなかったし、迷いも不安も大きかったが、自分の後に続く若い世代が同じような被害にあわないように、思い切って覚悟をもって声をあげたという水原さん。実際に発言したときの反響の大きさに驚いたと言います。
「でも発言してよかったと思ったのは、話題になってみんなが考える機会になったし、インティマシーコーディネーターが認知されたこと。また、志のある監督たちが“映画監督有志の会”をつくって前向きに業界を変えていこうという動きも生まれました。そういうことのきっかけになったなら、本当によかったです」
問いかけに対し、率直かつ丁寧に言葉を尽くして話してくださる水原さん。さらに話題は、アメリカのme tooムーブメントと日本との違い、撮影現場や会社での話し合いとパワーバランスについてなど、大いに盛り上がり、あっという間にタイムリミットに。
「みんなでエンパワーメントしましょう!すこやかな環境の中で何か生み出せたら、それはパワフルなこと。そういう業界に、色々な健全な環境で仕事ができるように心から願っています」と晴れやかな表情の水原さん。
佐々木かをりは、「水原さんの真の魅力がなんなのかを再確認した気がします。今日は、凛としていて芯がしっかりあって、しなやかな、そんな水原さんに魅了されながら、心理的安全性の重要性がますますわかってきました」と締めくくりました。