「私が宇宙にいたときに、かをりさんから登壇の打診がありました」とにこやかに登場したのは、宇宙飛行士の野口聡一さんです。現在は日本に戻られ、ご自宅からのスピーチとなりました。
第3セッション
講演
次世代の宇宙飛行へ
次の時代の有人宇宙飛行を切り拓くのは、柔軟なイノベーション
野口聡一氏Soichi Noguchi
宇宙飛行士、博士(学術)
アメリカでは9月11日であるこの日。20年前の当時、野口さんはヒューストンにあるNASAのミッションコントロールセンターに勤務しており、まさに目の前でワールドトレードセンターが炎に包まれる映像を、息を詰めて見ていたと言います。
一方、本日、日本の9月12日は、「宇宙の日」とされているそうです。
「我々の先輩である毛利衛さんが、初めて宇宙への初飛行をして29年。ガガーリンさんが宇宙へ行って60周年。有人宇宙飛行も、ずいぶん歴史を重ねてきました。今年のテーマはNEXT CHAPTERSなので、次の挑戦は何なのかということをお話したいと思います」
まずは、2021年の有人宇宙飛行の状況から。7月に相次いで民間宇宙旅行が実現し、以前と比べて今年の搭乗者は3倍近く、30人ほどが宇宙へ行くと言います。
「我々は、大きな変化を目にしていると思います。時代を切り拓いたのは、私が昨年に搭乗したスペースX社のクルードラゴンと言っても差し支えないでしょう」
画面には、民間初の宇宙船「クルードラゴン」の勇壮な姿。そして、野口さんを含む4人のクルーの写真が映し出されました。
「クルーは軍人や民間人など出身もそれぞれで、男性、女性、アメリカ人、アジア人と、極めて多様性があり、フレキシブルでレジリエントなチームになっていたと思います」
さらに、国際宇宙ステーションでの生活や船外活動なども、映像とともに紹介されました。
クルードラゴンはすでに宇宙観光旅行用に造り変えられ、宇宙を見るドーム状の窓が付いています。野口さんはその写真を示しながら、「こういう窓から地球の様子を見たいという方は、たくさんいると思います」と笑顔を見せます。
「こんな時代だからこそ、民間企業ならではの柔軟なイノベーション、若い世代のモチベーションが、体験したいことをどんどん現実のものとしていく。新しい世界を切り拓いていける。我々をNEXT CHAPTERに連れて行ってくれると確信しています。いろいろな可能性が広がっていくなかで、私もまた挑戦を続けていきたいと思います」
野口さんが話し終えると、佐々木が「そうなんです、野口さんが宇宙にいる時にご依頼したのです! 実は、娘と食事をしているときに携帯電話がなり「野口です」と。何度も疑ってしまったのですが、宇宙ステーションから野口さんが電話をしてきてくださった。感激と驚きでした」と、その時の興奮を話します。2回目の宇宙ではTwitterを始められ、今回はYouTubeそして、携帯電話。技術進化のスピードに驚かされます。
すると最後に野口さんから「国際女性ビジネス会議の35回、40回は、宇宙から開催すればいいんですよ」と、驚くような提案が。佐々木が「その時は、野口さんがco-hostをしてくれますか?」と尋ねると、「いいですね! さっきの窓から、2人で地球に手を振りましょう」と、宇宙旅行が遠い未来ではないことを実感させる、胸躍る言葉で答えてくださいました。