トークショー
アスリートのみる世界

コロナの時代だからこそ、アスリートの真価が問われている。


スペシャルゲスト小池都知事に続いては、オリンピックメダリストお二人が登場。さわやかな笑顔が画面上に映し出されます。聞き手は、日本で一番多くのアスリートの密着取材をしてきたスポーツ文化ジャーナリストの宮嶋泰子さんです。

コロナ禍により2021年に延期となったオリンピック、パラリンピック。現実的にはヨーロッパで再び感染拡大が起きるなど、「まだどうなるかわからない中、スポーツ選手にとっては目標があやふやになり、なぜこのスポーツをやっているのかと考える時間になるのではありませんか?」と、宮嶋さんが質問をぶつけます。

宮嶋泰子Yasuko Miyajima

スポーツ文化ジャーナリスト、カルティベータ代表

「素晴らしすぎる質問でドキドキしちゃいます!」と笑いをとりながら、太田雄貴さんは答えます。以前、国際女性ビジネス会議に登壇してくださったときは、フェンシングのポーズも見せてくださったことを思い出します。「選手たちはオリンピックなどのように誰かがつくった目標に向かって走っていて、自分でピンを刺しに行くことに長けていない。でも今回は自分で決めてピンを刺さなければならない。アスリートの真価が問われている」

マラソンで活躍した有森裕子さんは、「今までは当たり前のようにスポーツをやってきたけれど、社会がこうなったときに、一体自分たちがなぜスポーツをやってこられたのか、こういう時に何ができるのか、スポーツをすることの意義や自分の立ち位置を考える大事な時間になったのではないか。それは初心、原点に還ることかもしれない」と、いまアスリートが置かれた状況を掘り下げます。

太田雄貴Yuki Ota

国際フェンシング連盟 副会長、公益社団法人 日本フェンシング協会 会長

続けて宮嶋泰子さんは、メダリストであり、現在は組織をまとめていく立場にあるお二人にこう尋ねます。「コロナの中で大会を運営するなどした時に感じたり、決断したことは?」

昨日、全日本選手権大会を終えたばかりという太田さんは、「大事なのはピンチの中でどうチャンスを見いだしていくかということ」と明言。対人スポーツでの感染症予防対策はもちろんのこと、オンライン配信を前提とした新しい価値づくりにチャレンジしたエピソードを語ります。
有森さんは、2月に「2020第7回スペシャルオリンピックス日本冬季ナショナルゲーム・北海道」を中止と決定した際の経緯や判断について触れ、「大会をやってもニュースにならないのに、中止にしたらいきなり全国ニュースになりました(笑)」。お二人とも歯切れよく、さわやかで、ジョークも交えながらの楽しいトークに花が咲きます。

有森裕子Yuko Arimori

公認財団法人 スペシャルオリンピックス日本理事長、
認定NPO法人 ハート・オブ・ゴールド 代表理事

終盤は、withコロナ時代のスポーツについて。
オンラインになったことで、障害のある人も、どこに居てもどんな状態でも、参加できるようになった。「その平等性は目からウロコでした」という有森さん。「オンラインというのは、コロナが収まっても残る、これからの大事な手法なんだと思います」

「オンラインがたくさんあるからこそ、リアルに戻ったときには本当の価値が見出せる」と、太田さん。

最後に宮嶋さんが、「スポーツ界では世界における日本の地位が低い。ダイバーシティという意味では日本人がスポーツの国際連盟の中で地位をあげることも大切。そういう意味でもがんばってほしいです」と激励の言葉をおくると、太田さんは「がんばらないといけないですよね、太田、まだまだです。頑張ります!」思い切り明るい笑顔で応えます。

総合司会の佐々木かをりが「フィジカルで、ブレインで、エモーショナル、チャーミング!本当にこのお二人は最高です。宮島さんの素晴らしい進行で深いトークになりました。いま、会議に参加されている全世界の皆さんが大きな拍手がおくられているでしょう」と絶賛して幕を閉じました。

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