トークショー
クローズアップ藝大

分野を超えて、テクノロジー、サイエンスにも女性の発想力を!

国谷裕子Hiroko Kuniya

ジャーナリスト

「女性の宇宙飛行士や研究者をもっと増やしたい。『月面に、女性の足跡を残したい』ということですね」「そうですね。そういう事を考えながら制作しました。テクノロジー、サイエンス分野は特に男性が多い傾向になりがちなので…」
舞台は再び、東京のスタジオに戻ります。進行は、ジャーナリストの国谷裕子さん。ゲストは、アーティストのスプツニ子!さんです。第19回国際女性ビジネス会議でも登壇されたスプツニ子!さんの作品『ムーンウォーク マシン、セレナの一歩』のミュージックビデオが冒頭で流れ、ハイヒールで足跡を残すマシンが華やかなインパクトを残すなかで、トークショーがスタートしました。

「タブーに光を当てて、みんなが考えるきっかけをつくっているアーティスト」という国谷さんの言葉通り、男性が生理を疑似体験するマシンや、医学部による女性受験生に対する不正を取り上げた「東京減点女子医大」などの作品で問題提起を続けているスプツニ子!さん。「作品の一つひとつに、映像表現などいろいろな技術が必要ですね。一人では完結できないアートをつくる、その実現力とは?」という国谷さんの問いに「ソーシャルメディアで呼びかけ、チームを作る事が多いです。ビジョンがクレイジーなほうが集まるのかな」と笑顔で答えます。

「ソーシャルメディアはいいこともあるけど、偏向報道やヘイトメッセージが勢いを集めやすくなった面もあります。国谷さんは『深掘りの女神』。今のインターネットの変わり方をどう見ていますか?」と、スプツニ子!さんが逆にインタビューするシーンも。「かなり意識しないと、気づかないうちに違う意見を見るチャンスが薄れる。深い分断が生まれる」とSNSの課題も述べる国谷さん。さまざまな差別なども浮き彫りとなっている社会の現状に対して、アートは何ができるのか、活発に意見が交わされていきます。

スプツニ子!Sputniko!

エッセイスト
東京藝術大学デザイン科准教授

「スプツニ子!さんのGo Beyondには生殖補助医療関連のプロジェクトもあります。アートとの整合性は?」という国谷さんの問いに、「フェムテックと呼ばれる領域で、自分にとってはアートと他の領域はあまり区別していません。」と答えるスプツニ子!さん。
「フェムテックとは、テクノロジーやサイエンスの力で女性のニーズや健康課題を解決するプロダクト開発のための活動です。今日は『国際女性ビジネス会議』なので、参加されている方が私の先輩。教えていただきたいことがいっぱいあります」

女性たちの発想力が、社会を変えていける。「今日は、勇気づけられた方がたくさんいるのでは」と、国谷さんが参加者に語りかけます。
「分野を超えることで学べることがあり、仲間と出会えます。テクノロジーの分野にもっと女性が増えてほしい」とスプツニ子!さん。縦横無尽でパワフルなメッセージとビジョンに、多くの女性たちが背中を押されたのではないでしょうか。

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