カリフォルニアの次の舞台は、スイス、ジュネーブ。国際労働機関(ILO)本部統計局長をつとめるラファエル・ディエス・デ メディナさんがご登場。「ダイバーシティとインクルージョンが労働の世界でどの程度進んでいるのかを、今日はスナップショット的に話します」と、ILOの貴重なデータを示しながら解説いただきます。
第1セッション
講演
職場でD&Iは進んでいるのか?
取り組むだけのメリットがあるダイバーシティ&インクルージョン。
もっと進めるには政策が重要
ラファエル・ディエス デ メディナ氏Rafael Diez de Medina
国際労働機関(ILO)本部 統計局長
はじめに「なぜD&Iが重要か」。企業も社会も便益を受ける。社員の関与が高まりイノベーションや創造性、意思決定が推進される。管理職や幹部で進むと企業の財務が改善する。投資家が今まで以上にガバナンスに厳しくなっているなどのポイントが次々に。
続いて、2019年にILOが行った調査結果から、約60%の企業がジェンダーギャップの解決を進める取り組みによって利益と生産性が向上し、創造性・イノベーション・オープネス・評判などが高まったこと。世界的には各国の政策として推し進める動きが広がっていること、一方で労働時間や報酬の男女格差はいまだに大きいことなどを紹介。
また、ダイバーシティの中でも、障がい者に関することについては統計上あまり進んでいないが、コロナ禍において障がい者雇用によって衣料品業界の生産性が上がったとの報告があったこともシェアしてくださいました。
さらに、D &Iをもっと進めるためにILOが行っている世論調査や、40カ国以上、1万人以上を対象とする調査についての紹介などもいただき、その貢献の大きさに思いが及びます。
そして最後にラファエル・ディエス・デ メディナさんは、今日のプレゼンをこんな風に総括しました。
「ダイバーシティは取り組むだけの価値がある、生産性など大きなメリットがあり、見返りがあり、投資する価値がある。現在、ジェンダー面ではダイバーシティに前進がみられるが、インクルージョンの他の側面ではまだ進捗の必要があり、企業が進めるためにも国の政策は重要である」
大規模な統計調査を行っている国際機関の最新情報と専門的な知見を、短い時間の中で惜しみなくシェアいただき、その手応えに大きく頷いた参加者が多かったのではないでしょうか。
ダイバーシティ進度と経営の関係など非財務情報を数値化はESG投資の面からも注目が集まっています。上場企業を中心に参加している「ダイバーシティインデックス」の国際アドバイザーにラファエル・ディエス・デ メディナさんが就任されたと、最後にビッグニュースの発表も!