講演のステージは、アメリカへ。夜9時を迎えたニューヨークから「おはようございます!」と笑顔で登場されたのは、本田桂子さんです。世界銀行グループの機関である多数国間投資保証機関(MIGA)の長官CEOを2019年まで務め上げ、現在は米国コロンビア大学国際公共政策大学院で教鞭をとっています。
第1セッション
講演
The best is yet to come.
人生で一番いい時期はこれから。「三毛作」で考える成長の物語
本田桂子氏Keiko Honda
米国コロンビア大学国際公共政策大学院
客員教授・客員上級研究員
「この会議が、私が知るなかでは日本でもっとも前向きなエネルギーにあふれた場所です」と切り出す本田さん。「今日は、私たちがどんな時代を生きてきたのかを考え、その後にNEXT CHAPTERSについてご提案したいと思っています」という言葉に、期待が高まります。
ここからは、本田さんが世界各国の豊富なデータを示しながら、時代を振り返ります。多くの先進国が豊かになったのは、ここ100年から150年くらいの間であること。寿命が2倍(人生2倍)になり、人口も増加。それに伴い、経済規模が拡大してきました。「超長期的にみると、私たちはとてもいい時代に生まれたということです」と、本田さんが現代を俯瞰します。
今の日本人女性の年齢別死者数については、93歳がもっとも多い数字となっています。「ここにいるみなさんは、93歳まで50年以上の時間がある方が半分以上だと思います。そこで、ご提案です」と言って本田さんが示したのは、「人生三毛作」という言葉です。
本田さんご自身の例をとり、人生の「3つの章」を解説していきます。男女雇用機会均等法の前、四大卒女子の就職難のなかで外資系のコンサルティング会社へ。ビジネススクールを経てマッキンゼー・アンド・カン パニーへ入社し、専門職としてキャリアを磨いた第1章。管理職となり、最初はいろいろと悩みながらも乗り越え、役員となった第2章。そして、今、大学で客員教授を務め、学びを社会へ還元している第3章……。それぞれのストーリーのなかで乗り越えたこと、気づいたことを惜しげもなく語ります。
続いて「あなたのNEXT CHAPTERSは?」と、参加者に問いかけます。
「今、管理職に就きたくないという女性もいると聞いています。最初からうまくいかないのは当たり前です。学びながら、自分の成長の機会とし、後進をサポートしませんか? そして、定年後の30年を、一緒に考えませんか? 人生4毛作、5毛作もあり得ます!」
講演タイトルの「The best is yet to come.」は、日本語でどのように訳すか、実行委員長である佐々木かをりと話し合ったと言います。
「人生で一番いい時期はこれから、と訳せるかもしれません。私は今もそういう気持ちでやっていますし、これからもやっていきたい。そして、ぜひ皆さんにもそのように考えていただきたいと思います」
清々しく力強いエールで締めくくられ、次の講演へとバトンが渡されました。