Women in Workplace : a positive tale of identity
「バングラデシュにおける女性のGDP成長貢献は34%。
彼女たちの地位向上を、サポートしていきます」
2つ目の講演は、この会議のためにバングラデシュから来日されたルバナ・ハックさん。大手輸出会社モハマディ・グループのマネージング・ディレクターとして活躍する事業家であり、約20年にわたって女性の地位向上に取り組んでいます。ご主人はダッカの市長です。
「昨夜到着し、なんと今夜の便で帰る、という本当にお忙しい方」という佐々木かをりの紹介に、会場から思わずどよめきが起こりました。
拍手に迎えられたハックさんは、落ち着きのある、穏やかな口調で語り始めます。
「おはようございます。私は既製服の製造、輸出を行っています。妻でもありまして、夫は政治家です。3人の子どもの母でもあります」
起業家でありながら、市長の妻として、母としても多忙な毎日。お話は、ワークライフバランスから始まります。
「私は13000人の従業員を抱えていますが、彼らのワークライフバランスを維持するのがとても重要だと考えています。みなさんと同じように私たちも野心を持ち、家族を幸せにしたい、心の穏やかな状態で仕事に成功したいと考えているのです」
現在、バングラデシュにおける既製服製造業界は、労働者400万人うちの80%が女性で、GDPに大きく貢献しているとのこと。しかし、これまでこの国の女性たちは独立戦争で武装組織からレイプ被害にあうなど、過酷な歴史を歩んできました。多くの課題を抱える国で、ハックさんは女性の地位向上に取り組んできたのです。
「バングラデシュは、国会議員の20%が女性。女性の国会議員の数では南アジア地域協力連合加盟国の中では第3位です。女性の起業家もたくさんいます。バングラデシュにおけるGDPの34%は女性が生み出しています」
女性たちの躍進ぶり、イスラム教の国で女性の地位が向上することの意味を語るハックさんの力強い言葉に、みなさんは熱心に聞き入っています。そして話題は、住宅を安く提供する自社のプロジェクトや、2008年にバングラデシュで設立されたアジア女子大学へと展開。
「今、バングラデシュでは様々な業界で1620万人の女性が活躍しています。彼女たちをサポートしていきたい。駐日バングラデシュ大使も女性です。農業分野にも、士官学校にもエベレスト登頂者にも、女性の活躍があります」
最後にハックさんが、「エベレストにも登頂できるのよ」と女性たちへ呼びかける詩を朗読すると、思わず涙をぬぐう参加者の姿も。過酷な時代を越えた女性たちの行動を分かち合うスピーチに、大きな拍手が送られました。