管理職だからできること
ゲームのルールを変える、やりたい事に人や予算をつける、
会う人の幅が広がる。それも管理職の醍醐味。
会場に集まった方に挙手いただくと、既に管理職の方が約7割。管理職になって何が変わったか、どんな喜びや苦労があるか、子育てをしながらの日常は? 女性管理職の今を率直にオープンに語り、分かち合うセッションがはじまりました。
「最初は管理職になるのがイヤだった。出世よりも現場でお客様のために頑張りたいと思っていた」という伊藤綾さん(株式会社リクルートホールディングス サステナビリティ推進室 室長)は、どう考えを変えたかを語ります。
一つは、管理職がマネージするのは部下ではなくマーケットであり、そのマーケットマネージメントをチームとして任うのが私の管理職だと再定義したこと。そして、「管理職の画一的なイメージを変えることを喜びにしよう!」と思い、早く帰る、会議を60分から30分にする、夜の会食はランチやモーニングにするなども実践。「ゲームのルールを率先して提案できるのも、管理職の面白さです」。
株式会社ぐるなび執行役員として海外拠点事業の責任者をされている杉山尚美さんは、38歳のとき「海外事業をやりたい、会社のためにアジアをやらせてください」とトップに直談判。その翌年、晴れて外事業推進室が出来、予算も持たせていただいたといいます。
さらに、執行役員になって見えて来たこと、良かったことに言及。「それまでも自分の意見を言い続けて来たが、役員会に出るようになって経営視点を持てるようになった」、そして「会う人の幅が圧倒的に広がり、多くの刺激をいただいて、自分ももっと頑張らなくてはと思うようになりました」。
「男性社会の中で持ち味を活かしながら、どういう風にみんなを引っ張って行く?」とファシリテーターから水を向けられた向井育子さん。味の素冷凍食品株式会社でマーケティンググループ長として、最近ではイー・ウーマンのアイディアが活かされた「おにぎり丸」などを開発、発売されています。味の素株式会社の時代、ヒット商品となった「トスサラ」をイー・ウーマンと手がけた時の経験から、「最初は男性のみなさんに総スカン(笑)をくらっても、“そうだよね”と思ってくれる人は必ずいる。製品化して “おいしい”“うれしい”と食べた人が言ってくれる場面を体験してもらうと少しずつ男性の気持ちも変わっていく」。
現在、冷凍食品に出向してからは「経営会議に出ても女性はひとりぼっち。でもその時の体験から、わかってくれる人が居ると信じられることが心の支えになっている気がします」。
ファシリテーターの青山朝子さんは、コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社 執行役員 トランスフォーメーションプロジェクト統括部長としてビジネスモデルの変革を推進中。会社が統合した際、「一緒になった会社は日本の伝統的な男社会だった。その中でダイバーシティのイベントをやりたいと思い、社長に直接話をし、説得してイベントを実現した」とのエピソードを語り、「自分のやりたいプロジェクトに人や予算をつけることが出来るのは管理職の醍醐味の一つ」と明言。
そして、「ぶっちゃけトークをしましょう」と呼びかけて、登壇者と会場が一つになるディスカッションタイムへ。
管理職になりたくない部下の目線をどう変えるか、子どもの都合で休むなど苦労をどう克服したか、部下をどう動かすか、成果の考え方の違い、グチや弱音をどう発散するか……等々、さまざまな質問が飛び出し、本音をぶつけ合い、共感が広がる時間となりました。
最後は一言ずつ応援メッセージ。「つらい時もある、弱くてもいい」と伊藤さん。「ステップを上げると出来る範囲が広がる。一緒に頑張って行きましょう」と杉山さん。向井さんは「管理職になったらもっと楽しいことが待っている」。「自己肯定力で行きましょう!」と青山さんの明るく力強いメッセージに、笑顔あふれるクロージングとなりました。