円卓会議204働き方改革での新しい人事評価

  • 島田 由香
    島田 由香

    ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役人事総務本部長

  • 有沢 正人
    有沢 正人

    カゴメ株式会社 執行役員経営企画本部人事部長

  • 八木 洋介
    八木 洋介

    株式会社people first 代表取締役
    株式会社 ICMG 取締役
    株式会社 IWNC 代表取締役会長
    (前 株式会社LIXILグループ執行役副社長)

  • 佐々木かをり
    佐々木かをり

    株式会社イー・ウーマン代表取締役社長
    株式会社ユニカルインターナショナル 代表取締役社長
    国際女性ビジネス会議実行委員会委員長


Act positiveな人材に私たちがなり、人を育て、評価することが大切

働き方改革での新しい人事評価 写真

日本の人事業界で注目される「トップ3」がスタンバイしているステージを前に、待ちきれないといった空気の会場。佐々木かをりが少し早めの開会を知らせます。

ご自身を「人事界のジョーカー」と紹介し、一気に会場を笑いの渦に巻き込んだ八木洋介さんは昨年まで株式会社LIXILグループ執行役副社長 人事・総務担当。長時間労働で生産性の低い日本のデータを示し、「日本の人事の多くは、ロイヤリティや滅私奉公を測っている。今こそ私たちは、成果をしっかり測るということに対して動かなければいけない」と力説します。

働き方改革での新しい人事評価 写真

カゴメ株式会社 執行役員経営企画本部人事部長の有沢正人さんも「カゴメも来年から、労働生産性で測ります」と同意します。「評価の測り方については、上司の見方をいかに統一するかが重要。あとは目標設定と管理。フィードバックをきちんと行い、上司とワーカーのコミュニケーションをとることに尽きる。それが従業員のマーケッタビリティが上がることにつながります」と語り、具体例を掘り下げていきます。

働き方改革での新しい人事評価 写真

マネージャーの教育の重要性と同時に、別の角度からテーマに切り込んだのは、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役人事総務本部長の島田由香さんです。
「生産性という表現自体、大事とわかってはいるけれど、ワクワクしない。じゃあ、どうしたらワクワクするか? 私たちができるインプットとは、ハッピーでいるか、健康かどうかということ。自分らしく、ワクワクしながらする仕事は、絶対に結果が違います」

働き方改革での新しい人事評価 写真

島田さんの言葉を受け、佐々木も「私も自分をハッピーにしておくことが一番生産性が高いといつも伝えています。私が教える時間管理講座も最初の30分はいかに自分を幸せにすることが大切かを教えてるんです」とうなずきます。

さらに「新しい時代に入り、今までの評価システムでは測れなくなって来ている。ダイバーシティな時代の今、どんな評価制度があればいいのでしょう」と、各社の取り組みをさらに詳しく聞いていきます。

働き方改革での新しい人事評価 写真

後半は、会場を交えてのディスカッションです。「自分の会社は仕事が好きな人が多く、マネージャーもたくさん仕事してしまう。マネージャーとプレイヤーの軸の違いは?」「短時間勤務をしている社員に不満を持つフルタイムの社員がいる。評価を受ける社員の公平性をどうするか」「帰宅してもやることがないという人の長時間労働を改善する方策は?」など、参加者のみなさんからリアルなテーマがどんどん提案され、会場は白熱。

「人事は終わりのないテーマ。ダイバーシティに取り組み、知恵を集めることで、会社が、社会が良くなる。そこへ向かうAct positiveな人材に、私たちがなること、そして、そういう人を育てること、評価することが大切」と佐々木が締めくくり、割れんばかりの拍手の中で90分間の議論が終了しました。

イー・ウーマンピアからのレポート

「新しい人事評価」を聴いて


世界中で起こる変化に対応できるように、今年も国際女性ビジネス会議に出席させていただきました。近年、経済の仕組みも変化し、第21回国際女性ビジネス会議の議題のひとつでもあったシェアリング・エコノミーと言われるようになり、次はサーキュラー・エコノミーという動きになってきました。エネルギーに関しても化石燃料から再生可能エネルギーへと大転換がおこっています。企業もいろいろと進化して行っているようです。
この会議は、「米国やドイツと比較して、日本における労働者一人当たりの労働生産性がかなり低いのは、できの悪いマネージャーと勤勉なフォロワーという組み合わせが原因」という大変興味深いテーマから始まり、組織と個人の生産性を上げるためのポイントや人事評価のあり方、日本人が気をつけた方がいいこともご指導してくださいました。日本の人事業界でトップ3のユニリーバ社・島田氏、カゴメ社・有沢氏、LIXIL社・八木氏が講師です。「結果が大事。私たちは結果を見ます。」、「きちんと議論することが大切。徹底的に議論をすると、必ず正しいところに落ちていく。」、「目標がどれほどambitious かpassionがあるかも見ます。」、「フィードバックをしっかりとすること。」、「チーム・メンバーを心配するのではなく、信頼すること。」佐々木かをり社長の「会社への貢献を言えるように訓練して行かないとこれからの時代はダメです。自分の行った良いことリストを作っておくこと。」も大変お勉強になりました。
質疑応答の時間では、会場の参加者から数多くの質問がありましたが、企業の方同士が競合するのではなく、企業内で抱えてられる悩みや問題点をご相談され、講師陣の方々が自社の具体例を出して親身にご指導してくださり、会場はとても良い雰囲気と熱気に包まれておりました。

マカロン71

人事って人を育てることだなと実感


「人事評価」というとちょっと冷たいイメージがありましたが、1年前の国際女性ビジネス会議で人事をテーマにした円卓会議に参加したことで目から鱗が落ちました。そのとき、人と向き合うこと、人の可能性を考えることが人事なのだということに気づき、自分自身の働き方に変化が生まれたので、今年も待ってましたとばかりに、この円卓会議を選びました。
島田由香さん有沢正人さんは2年連続のご登場。八木洋介さんは私は初めてでしたが、友人から名前を聞いていたので期待感も高まります。「人事は絶対評価がいいのか、相対評価がいいのか」「古い価値観(長時間労働でないと評価しないといった考え方)の上司をどう説得するか」などの質問も、評価する側もされる側も諸々の悩みを抱えているというのがわかりました。そして何より、「人を育てようとする」「人を成長させる」ことが大事であること。しかも、つらいことは続かないので、わくわくすることが大事であること。そういう気づきが増えました。私も後輩を育てることがミッションになりましたので、この収穫を生かしたいと思います。

いのくち