円卓会議105声で変わる。ボイスワークショップ

  • 菅家 ゆかり
    菅家 ゆかり

    元日本テレビアナウンサー
    声とことばの磯貝メソッド®正講師


声は人格と同じ。まずはAct Positive、自分の声を認めてあげて

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「こんなにたくさん参加してくださって、ありがとうございます!」
ぎっしりと埋め尽くされた会場に、演出家・俳優である丹下一さんのよく通る声が響き渡ります。国際女性ビジネス会議の司会でもある菅家ゆかりさんの「みなさん、こんにちは!」という凛とした声で、大人気の講師2人によるワークショップが始まりました。

「声は、体が楽器となって出てくるもの。ちょっとしたコンディションで変わります。今日はずっと座っているので、まずは体をほぐしていきましょう」と菅家さん。全員が立ち、呼吸を整え、自分の体を確かめるようにじっくりとストレッチしていきます。

みなさんの表情がゆったりとリラックスしてきたところで、丹下さんにバトンタッチ。「歩いてください」という声で、みなさんはちょっと戸惑いながら、会場の中を歩き始めます。
「ストップ! そして二人一組になり、相手に『こんにちは!』と挨拶してください」
突然の指示に、思わず笑いだすみなさん。その後、次々と「隣の人と握手をしてください」「イタリア人になります!」と丹下さんからミッションが繰り出され、予想もつかない展開に、何度も笑い声が起こります。

いつの間にか声が大きくなり、表情がすっかり明るくなったみなさん。そこで菅家さんが「みなさん、自分の声を聞いていますか?」と呼びかけます。
「声は人格と同じです。まずはAct Positive、自分の声を認めてあげましょう」
そして、相手をターゲットとして定めて「伝わる声」を出すことのポイントを学びます。

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クライマックスは、なんと『平家物語』の朗読です。「これは800年前の日本語です。ふだん使っている言葉だと、普通に話すだけで伝わっていると思ってしまうので」と、古典を選んだ理由を述べる丹下さん。「言葉は記号に過ぎない。自分の想いやエネルギーをこめないと、言葉は生き物にならないんです」。そして、全員で「いくさはけふぞかぎり、者ども少しも退く心あるべからず…」と、大きな声で読み上げていきます。

絶妙なタイミングで菅家さんと丹下さんが交代しながら90分のプログラムが進行し、みなさんの声も表情も、さらに生き生きと輝いていきました。

「いろんな言葉を散りばめても、伝わる声になっていないと、せっかくの苦労が価値あるものに評価されません。今日をきっかけとして、自分の声は伝わっているかどうか、ちゃんと自分の声を聞くということを意識してください」と菅家さんが締めくくります。
「みなさん、表情が最初と全然違います。私たちから見えている風景をみなさんに見せてあげたい!」という丹下さんの言葉で大きな笑い声が起こり、多くの人とコミュニケーションを楽しむこの後のパーティへと期待をつないでの終了となりました。

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イー・ウーマンピアからのレポート

初めてのボイスワークショップ


イー・ウーマン社の「働く人の円卓会議」で、アナウンサーの菅家先生のご指導により、初めて声の重要性を認識するようになりました。
会場は並べてある椅子では全く足りないくらいの大勢の人たちがつめかけてられて、とても人気の高い会議でした。「声が変われば、普段の生活や人生が変わる」と伺い、わくわくする気持ちが高まりました。まずは、ストレッチからです。筋肉をほぐして呼吸をしやすくするために、ヨガのような体操を参加者全員で少しいたしました。体調が悪くても、姿勢が悪くても声に影響するそうです。菅家先生のおっしゃる通り、ストレッチをするとヨガを終えたときのように、すがすがしい気持ちになって声がうまく出たようです。
俳優かつ演出家でいらっしゃいます丹下先生からは、「言葉は記号にすぎない。70%くらいしか意味をなしていない。なので、自分のエネルギーを込めないと声にならない。伝わらない」、「大きい声とエネルギーのある声は違う。自分の本当の想いがあれば、小さい声でも伝わる」とご指導していただきました。確かに、丹下先生がセリフを読まれると、とても迫力があり、思いを込めて話すことの大切さを実感いたしました。菅家先生も「相手に伝えようとして、声を出すと声が伝わりやすい」と教えてくださっております。
この会議に参加させていただいて、日本語は縦書きにして読むと良い理由がわかったのも新しい発見でした。とても楽しく充実した時間があっという間に過ぎてしまいました。きっと他の参加者のみなさんも「もっと学んでみたい」と思われていることでしょう。

マカロン71

すぐに実践


人に与える印象を考えているつもりでしたが、これまで清潔感を意識した服装やメイクやヘアスタイル、また色使いなど目に見える部分について考えており、声を特別に意識することはなかったように思います。今回は目に見えない部分を意識するいい機会だという直感に従いました。
簡単なストレッチから始まり、身体を整えること・呼吸を見直して、実際に声を出してみると、健康的な声のエネルギーを聞き手に届けられると、その場ですぐに実感できました。
次に2人1組になり、自分の名前の音を丁寧にはっきり発音して、相手に伝える練習をしたことで、今後名刺交換をする際に、自分の中で意識することが変わりそうです。
管家ゆかりさんの「基本ができている人が強い」のお言葉はとても印象的で、その後のプレゼンのことばかりを考えながら、半分上の空で名刺交換をしていた自分を改めようと思いました。
丹下一さんと平家物語を音読し、日本語を縦書きで書いてみること、雅さを感じること、言葉にその先のイメージを持つこと、想いがあると言葉がより力を持つことを考え、体感でき、これから実践してみます。

ゆきなな

自分の声が好きでなかったけど


ワークショップがプログラムに登場していたので選んでみました。自分の声がどちらかというと好きでなかったので、いい声が出せるようになればいいなと願いながら。同時刻開催のほかの円卓会議も魅力的でしたし、ワークショップというめずらしい方式だったのでどのくらいの人気かわからなかったのですが、会場に行ってみると人が溢れるほどの大盛況。そして、なんとマラソンの有森裕子さんも参加。心なしか、みんなテンション高いです。
菅家ゆかり先生、丹下一先生のご指導で、まずはいい声を出すためのストレッチ。午前中ずっと座っていたため固まった筋肉がほぐれます。歩いたり、隣の人と自己紹介しあったり、ハイタッチをしたりと、テンポよく体を動かしました。すると、喉が開いてきて、いい声かどうかはわからないけど「気持ちよく声を出せた」という感覚が湧いてきました。最後に平家物語の一節を朗読したのですが、そのときは部屋いっぱいにみなさんのいい声が響いていました。
先生の「自分の声が好きでないだというのはもったいない。好きになってください」という言葉が心にしみ、少し好きになれました。

いのくち

相手に伝わる発声を


以前大勢を前にプレゼンする機会があり、練習もしないで初めてのプレゼン。緊張してつぶやくような話し方になってしまったので、反省の念もあり、ボイスワークショップに参加しました。
すし詰め状態の部屋の熱気の中で、ストレッチをし、発声練習。その後部屋の中をグルグル歩き回りストップのかかったところで出会った方と挨拶。初対面の方達が皆ぎゅーぎゅーで大変な中でも楽しそうにしており、面白い体験でした。
数を数える練習では2人組交互に数字を言い合うのですが、ステージに上がってみんなの前でやってくださった男性は、自分のいうべき数字を忘れてしまい、それに対して管家さんが「相手に伝えるということの前に自分のことを先に考えてしまったからですね」とコメント。なるほど〜、と思いました。
数字にしても挨拶にしても自分の名前にしても、しっかり相手に伝えるように言う、という基本が今までちゃんとできていなかったこと、またどれだけ大事だか改めて身をもって感じました。プレゼンの前にこの経験をしていればどれだけ違っただろう、と残念に思いましたが、次の機会に生かしたいと思います。
また源平合戦のセリフの一部を皆で大きな声で朗読する体験も貴重でした。丹下先生の迫力のある発声を2メートル内の近距離で見て、プロフェッショナルを感覚で感じることができ、感動しました。

もはよしえ