全体リポート

ダイバーシティ、起業、国際、男性の意識改革…。
4時間にわたる全体会議は、息もつかせぬ展開に!

会場のドアオープンは朝の9時。さらに1時間前の7時台から参加者が集まり始め、笑顔で名刺を交換し、挨拶を交わす様子は、毎年恒例の風景となりました。すでに待ちきれないといった表情の皆さんを前に、スタッフも準備を整えてスタートポジションへ。昨年に引き続き、ドアオープンを15分ほど早めてのスタートとなりました。

受付を済ませると、さっそくメイン会場へ。美しくセッティングされたテーブルへ、次々と着席していきます。スマホで会場を撮影し、SNSなどへアップする人の姿も。そして10時。いよいよ会場のライトが落とされました。

参加者全員がステージに注目する中、まずは主催者を代表し、国際女性ビジネス会議実行委員長である佐々木かをりが壇上へ。今回は小学生の参加者もいること、上は80代まで、そして男性比率は15%近くで過去最高であることを伝えると、会場からは「わあ!」という歓声とともに大きな拍手が沸き起こりました。

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「どれだけ前向きな行動を取れるのか、自分の行動がどれだけプラスになるのか。一人ひとりが、傍観でなく参加する、そんな一日を」と、テーマについて力強く語る佐々木。
そして、ポジティブなアクションの1つとして、企業のダイバーシティ推進の指標となるダイバーシティインデックスの導入を発表。実行委員や仕組みが紹介され、このインデックス導入への企業参加を呼びかけました。厚生労働大臣からの応援署名が紹介された後、加藤勝信大臣からの応援メッセージも読み上げられました。
「夜の8時までノンストップで行きます!」という締めくくりの言葉で、年に一度の大カンファレンスがいよいよ幕を開けました。

講演のトップバッターは、昨年、サプライズゲストで会場を沸かせてくれた小池百合子東京都知事です。少子高齢化の時代、女性の力はまだ潜在的であると主張。「都庁を女性活躍のモデル組織に」と意気込みます。「先頭に立つ人のことをファーストペンギンという。ぜひ皆さんに先頭となっていただきたい」と語り、会場を熱く引き付けます。

続いての登壇は、バングラデシュの事業家であるルバナ・ハックさん。既製服製造で7000人を雇用し、女性の地位向上に務めています。自国の女性たちの悲しい歴史、妊婦の死亡率の高さなどの課題とともに、「既製服業界で貢献する彼女たちをサポートし、社会を変えたい」と、住宅支援などのプロジェクトを語るハックさん。情熱あふれるスピーチに、会場から熱い拍手が送られます。

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3人目の講演は、国際機関UNWOMANアジア太平洋地域部長として活躍する加藤美和さん。柔らかな口調でありながら鋭く、「今、Act Positiveでリーダーである人が少ない。空気なんて読んでいたら何も解決しない」と指摘。組織のなかで野心を出すことをよしとしない社会に警鐘を鳴らし、「結果を出すために、より判断権のあるポジションにつく、というのを一緒にやっていきませんか」と呼びかけました。

最後の講演は、世界銀行グループMIGAの長官、本田桂子さん。切れの良い声で、4年制大学卒の女性の就職が厳しかった時代など自分自身の人生を振り返ります。「女性の進学率も上がったが、教育を生かせない職業についている。金融も女性が少ない」と、現代の課題を述べ、20年前の自分に呼びかける形で、「自分にとっての成功を手にする。それに向かってポジティブに努力する。成果を出す」と、女性たちへエールを送りました。

ここで、佐々木からサプライズのお知らせが。訪日していたボリス・ジョンソン英外相からのビデオ・メッセージの公開です。この会議へ出席をしたかったが帰国しなければならず残念であること、国際女性ビジネス会議を「素晴らしい活動。女性活躍はイギリス政府としても極めて大事な課題であり、非常に重要なプログラム」としたうえで、「ぜひ協力していきたい。素晴らしい一日をお過ごしください」と笑顔でメッセージをくださいました。

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続いてのプログラムは、5つのトークショーです。一つ目は34時間のフライトでこの会議のために来日したエジプト国家女性評議会議長のマヤ・モースィーさんと、先の講演で登壇した加藤美和さん。マヤさんは、アラブの春が、差別の中で苦しんでいた女性たちにとってはまだまだ厳しい「冬」であったこと、国のためにいかに戦ったかを語り、「私がメンターとして伝えていることは、あなた自身が希望にならなければならないということ。夢を持ち続けること」と、平和への想いを訴えます。

次は男性リーダーの登場です。カルビー株式会社代表取締役会長兼CEOの松本晃さん、メットライフ生命保険株式会社の取締役、代表執行役、会長、社長、最高経営責任者のサシン・N・シャーさん、株式会社阪急阪神百貨店社長の荒木直也さん。高雄美紀キャスターが各社の女性活躍推進への取り組みや、男性の意識変革が進まない日本的企業の課題へ鋭く斬り込み、男性リーダーたちも結果を出すことへの具体的なアクションをコミットしました。

アジアの変化と日本をテーマとするトークショーでは、ビジネスの第一線で輝く3人の女性リーダーが登壇。ゴールドマン・サックス証券株式会社副会長のキャシー・松井さん、インテル株式会社代表取締役社長の江田麻季子さん、タイからこの会議のために来日した、東南アジア最大の女性向け電子商取引サイトOramiの共同創設者であるシャノン・カラヤナミトゥルさんです。ライターのアルトマン・京子さんによるファシリテートで、マクロ経済からみた各国の変革、ミクロの視点で企業内の実態をパワフルにディスカッション。

集中して聞き入り、メモを取り、ときには大きな笑い声が起こる中、あっという間にランチタイムがやってきました。この日のためにホテルが特別に用意してくれた、ヘルシーで美しい盛り合わせのコースメニューに歓声が上がります。会話が弾み、最後のデザートを味わうリラックスした雰囲気のなか、午後のプログラムが始まりました。

4つ目のトークショーは、衆議院議員の小泉進次郎さんと佐々木かをり。小泉議員は昨年に続いての登壇です。今春に開催した、0歳児から参加できるユニークな活動報告会や、いま注目されている「こども保険」など未来に向けたポジティブアクションを情熱的に語り、最後は1000人以上の参加者全員と集合写真を撮影するというサプライズも!

そして、メイン会場でのプログラムの締めくくりを飾ったのは、オリンピックメダリストの有森裕子さんと、脳科学者の茂木健一郎さん。高尾美紀キャスターの軽妙なファシリテートで、有森さんが二度目のメダルを手にするまでのリアルな葛藤、茂木さんは椅子から立ち上がるほどの熱弁ぶりで、ジェンダーに縛られずに自分自身のポテンシャルを信じることの大切さを語ります。

朝のスタート時よりもさらに表情が輝き、割れんばかりの拍手で大会場を閉じました。この後は、参加者全員でのインタラクティブな議論を展開する「円卓会議」です。

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政策、投資、働き方改革、ジャーナリズム、人事、
ボイスワークショップまで、選んで参加できる10のテーマ

15時に始まる「円卓会議」まで、しばしのブレイク。休憩時間も、1000人の参加者のポジティブアクションは止まりません。ホワイエに並ぶパートナー企業のブースを訪れ、各社の新商品の説明を聞いたり、パンフレットを受け取ったり、登壇者の書籍や、この日から毎年発売されるアクションプランナーを購入したり。登壇者も参加者と気軽に語り合います。

円卓会議は「第1セッション」の後、「第2セッション」。それぞれに5テーマずつが設けられています。参加者は各セッションでテーマを選び、合わせて2つの円卓会議に参加できる仕組みです。英語のセッションも4テーマあり、すべて通訳なしで行われます。

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第一セッションは、「Women in Politics and Public Leadership 政府・公共機関でリーダーシップをとる女性たち」、「Women in Investment 投資を動かす女性たち」、「働き方改革。今」、「変わる取締役会」、「声で変わる。ボイスワークショップ」。

第二セッションは「Education for future leaders 未来のリーダーを育てる教育とは」、「Entrepreneurs make a difference 起業家が世界を変える」、「女性ジャーナリストがメディアを変える」、「働き方改革での新しい人事評価」、「管理職だからできること」。

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国家女性評議会議長のマヤ・モースイーさんなど、講演やトークショーで登壇されたスピーカーをはじめ、地方の商材をプロデュースして発信する起業家の正能茉優さんや、少子化ジャーナリストの白河桃子さん、官邸での鋭い斬りこみで注目を集めている望月衣塑子記者など、各界の最前線でポジティブアクションを実践する登壇者らと直接ディスカッションができる貴重な機会です。

すべての円卓会議では、半分以上の時間を参加者を含めたインタラクティブなディスカッションです。ファシリテーターが会場に声をかけると、一斉に手が上がります。さまざまな質問、鋭い意見、新しい視点での提案を行い、議論がさらに深まり、盛り上がっていきます。学生も社会人も、年齢、国籍、性別など関係なく、誰もが積極的に発言し、前向きに意見を交わします。

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どのセッションも、終了間際まで議論が白熱。「まったく新しい角度からの意見で、視野が広がった」「学生たちの言葉に刺激を受けた」「皆の熱気に、自分もどんどん質問しなければ損!という気持ちになった」など、会場から出てきた参加者は表情を輝かせながら語ります。講演者たちも、「続きはぜひ、この後のパーティで!」と声をかけ、いよいよこの日のプログラムはクライマックスへ。

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1日を振り返るパーティセッション、平和を語るスペシャルライブ、
感動を共有するネットワーキング!

会議がスタートして8時間。朝よりもますますパワフルに、18時からは最後のプログラムの時間を迎えます。メイン会場は彩りを変え、華やかなビュッフェスタイルに。ネットワーキングパーティの始まりです。

佐々木かをりに招かれ、ゴールドパートナーの三菱商事 人事部女性活躍推進・ダイバーシティ室室長の柏原玲子さん、カルビー株式会社ダイバーシティ委員会 委員長の新谷英子さん、小林製薬株式会社製品開発・マーケティング統括本部日用品事業部 マーケティング部 部長の秋田 理香子さんが次々と壇上へ。この会議を企業として支援する思いなど、温かく力強いメッセージを送ります。続いて、学生の参加を支援するマッチングスポンサーである個人と、支援を受けた学生たちがステージへ。支援をした人は「自分のボーナスをこの支援に充てた。正しい選択だった」。また学生からは「社会問題を考えるとともに、自分自身がどのように行動していくかを考える機会になりました」など、興奮冷めやらぬ様子でみずみずしい感想が述べられ、会場から大きな拍手が送られました。

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未来へのポジティブな想いを共有した会場を最後に包み込んだのは、情熱的なジャズセッション。武装解除・平和構築の専門家であり、トランぺッターの伊勢崎賢治さんと、3人のミュージシャンによるスペシャルジャズライブです。曲の合間に、真摯に語られる平和への想いに、皆がワイングラスを片手に聞き入ります。食事も楽しみ、さらにリラックスし、ネットワーキングタイムでは積極的に声を掛け合い、名刺交換をし、夢中になって語り合っていました。

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7時45分。佐々木かをりが壇上から最後の挨拶をします。スピーカーの中から加藤美和さん、本田桂子さん、シャノン・カラヤナミトゥルさんが招かれ、ステージへ。「どんどん一緒に前進してきましょう」など、温かいメッセージが送られました。閉会の挨拶が終わっても、佐々木の前に並んだ名刺交換の列は絶えることなく、会場でもあちらこちらで別れを惜しむ姿が…。

「Act Positive」を胸に集まった、1000人の参加者。未来を作り出すポジティブなアクションをしっかりと心に刻み、またそれぞれに新しい明日へと向かいます。感動、驚き、笑顔、涙…今年も数々のシーンを描き出したダイバーシティカンファレンス、第22回 国際女性ビジネス会議。来年への希望を包み込んで、今年も盛会のうちに幕を下ろしました。

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*お知らせ: 次回、第23回国際女性ビジネス会議は2018年7月22日(日)に開催されます。
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