REPORT


トークショー「Women in Films」




登壇者の異色の経歴に目を奪われたり、思いがけないテーマが登場したりするのも、国際女性ビジネス会議の魅力の一つです。
このトークショーでは、駐日マケドニア共和国大使館の特命全権大使であり、映画研究の博士号を持ち、映画監督の実績もあるというアンドリヤナ・ツヴェトコビッチさんがご登壇。日本に初来日という、女性やハリウッドに詳しい文筆家のメリッサ・シルバースタインさん、昨年に続いてご登壇のNHK World "Newsline"キャスター高雄美紀さんと、映画産業や映画作品における女性の地位や役割などについて、さまざまな角度からトークを繰り広げました。

映画研究で邦画にも洋画にも精通したアンドリヤナ・ツヴェトコビッチさんは、「映画のキャスティングは男性優位。作品の中で、女性のキャラクターにどのような役割がほどこされているのかをよくみる必要がある」とし、「欧米の典型的なストーリーは、王子さまがドラゴンと闘ってお姫様を救う。邦画はちょっと違って、小津映画にしても寅さんにしても、男性をサポートする強い女性が登場している」といいます。

メリッサ・シルバースタインさんは、ハリウッド映画の中で、女性が演じる役で一番多いのは「母」。ウェイトレスもかなり多いとしつつも、最近は女性プロデューサーの映画に女性スターが科学者の役割で登場するなど、少しずつ役割が変わって来ていると分析。それでも、ハリウッドでは女性が大規模な予算の映画からは閉め出され、小さな規模の映画しかつくれない傾向があるといいます。



それを受けて、「女性が閉め出されるのは、女性のビジョンが信頼されていないからではないか。日本でも女性監督というとインディペンデント系が多い。大規模な映画が良いというわけではないが、もっと女性がコントロールできてもいいはず」と、高雄さん。

話題は、お金の問題や映画製作のシステム、映画の見方、脚本家の育成などとどんどん広がり、アンドリヤナ・ツヴェトコビッチさんから「マケドニアでは女性の議員が34%になった。映画業界でもクオーター制を導入して教育から変えていかないと!」と、力強くエンパワーする言葉も……。

普段何気なく観ている映画の中に、ジェンダー、ダイバーシティなど様々な要素が反映されていることを見つめ直す時間となったのではないでしょうか。もっと聴きたい気持ちのを残しつつ、このテーマは午後のラウンドテーブル「Media and Woman」へとつながって行きます。