REPORT


円卓会議 105SNS。一言で社会を動かす

  • 古川 享
    古川 享

    慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授

  • 上野 美香
    上野 美香

    Evernoteマーケティングディレクター

  • 米良 はるか
    米良 はるか

    READYFOR株式会社 代表取締役

  • 青山 朝子
    徳力 基彦(F)

    アジャイルメディア・
    ネットワーク株式会社
    取締役 CMO ブロガー



古川享さん


米良はるかさん

選挙活動に、企業のマーケティングやブランディングに、また、個人の発信やコミュニティづくりにと、SNSが欠かせない時代となり、「保育園落ちた」などネットでの一言が社会を動かしたケースも注目されています。このラウンドテーブルでは、インターネットやソーシャルメディア界をリードする4人のスピーカーを迎え、最新のSNS事情やネットの力など、最先端の視点でディスカッションします。

最初に、日本のPCやインターネットの黎明期からこの世界を牽引して来られた古川享さんが、プライベートな体験を。「脳梗塞で倒れた時、Twitterで実況中継をしたら、色々な人が新しい治療法を教えてくれたり励ましてくれたりした。自分はまだやり残したことがあると思って戻って来た。今はSNSで新しい動きが広がり、坂本龍一さんに声をかけたライブ中継では120万人が音楽を聴いてくれた。ネットワークを通じて多くの人をエンパワー、エンカレッジして行きたい」。

2011年3月に日本初のクラウドファンディング「READYFOR」を立ち上げた米良はるかさんは、「そもそもクラウドファンディングはSNS無しには成り立たない。SNSを通じて、社会的な課題に共感する人達がシェアしたり、実験的なプロジェクトにチャレンジしたりしている。社会的な課題をどうやって解決するのか、当事者意識を持ってみんなでコラボレーションするような意識でやっている」と、事業への思いを。

ファシリテーターの徳力基彦さんは、「そもそもコミュニケーションは一対一。その対極にあるのがマスメディアで、中間にあるのがSNS」とし、「保育園落ちた」の一件に触れて、「あのブログを最初に見たとき、気持ちはわかるが言葉が強すぎて注目されないと思った。結果的にはマスメディアにも取り上げられたりしたけれど、死ね、殺すなどの言葉はやはりネガティブすぎる。こうした強い怒りの言葉を使わずに社会にどう問題提起できるか?」と問いかけます。


上野 美香さん


徳力 基彦さん

「ここ数年、SNSはツールとしての変化も、その使われ方の変化もすごい。人のつながりが加速度的に増している。光が強ければ闇も強いように、いい面だけではないが、SNSでは自分と感性が似た人とつながったり、情報交換したり、自分が気づかなかった有益なコメントをもらえたりする。そういう人たちとコミュニティをつくることが大切。その中でポジティブな反応をしてくれる人がいたり、シェアしてくれたりすることが重要」と、上野美香さん。Evernoteのマーケティングディレクターとしてのみならず、ご自身も積極的な情報発信をされているといいます。

後半はインタラクティブなディスカッションへ。「SNSでの情報発信において気をつけていることは何か」、「企業のページにファンを増やしたり、ポジティブな人達を呼び寄せたりする方法は?」など会場からの質問に対して、4人の最先端の視点から、また、貴重な体験も合わせ、ここでしか聞けないであろう示唆に富んだ回答が続々と!

終始、活気と笑顔の絶えないディスカッションは、「広い意味でマイノリティ側にいる人がイノベーションを起こすには、SNSなどのツールが重要。何かをしたいと思ってここに来ているなら、上手に取り入れよう!」と、徳力さんのエンカレッジの言葉で締め括られました。

イー・ウーマンピアからのリポート

イー・ウーマンピアとは

juno さん

メディアリテラシーへの道

最近の事件や社会現象の一つに、SNSで発信された言葉、あるいは内容がきっかけになっていることから、メディアリテラシーについて、考察。SNSは今や情報発信として企業に限らず個人にも欠かせないツール。過激で刺激な言葉を発信し、存在を主張しているかもしれないが、コミュニティには自浄作用によって、沈静化もすることがわかっているとのこと。たとえネガティブな発信であっても、事実を伝えることが基本。そして、その先には表層的にならない現実のコミュニケーションをつくれる。 参加者からは、「伝えたい人にどの様にしたら効果的に伝えられるか」など、発信者としての工夫についての質問があり、SNSに新しいメディアとして期待している企業や個人もいれば、いつまでも新聞、テレビが正しいと思い込み、SNSは危険と思っている人々との2極化の中でも、メディアはオプションで、リアルな人間とのネットワーク、コミュニケーションが必要であるという説明がありました。