REPORT


円卓会議 103起業でつくる新しい世界

  • 酒井 春名
    酒井 春名

    リクルートマーケティングパートナーズ
    まなび事業本部コンテンツアドバイザー

  • 小篠 ゆま
    小篠 ゆま

    ファッションデザイナー/株式会社 ユマコシノ アソシエイツ
    代表取締役

  • 閑歳 孝子
    閑歳 孝子

    Zaim 代表取締役

  • 伊藤 麻美
    伊藤 麻美

    日本電鍍工業株式会社 代表取締役

  • 佐々木 かをり(F)
    佐々木 かをり(F)

    株式会社イー・ウーマン代表取締役社長
    株式会社ユニカルインターナショナル
    代表取締役社長
    国際女性ビジネス会議実行委員会委員長



酒井春名さん


閑歳孝子さん

各分野で活躍中の女性起業家のみなさんにご自身の体験を伺い、起業の現実を学ぼうと、多くの方が会場を埋め尽くし、中には高校生や男性の姿も見えます。

最初に、教員からキャリアをスタートし、現在は起業家ではなく個人事業主として、スタディアプリのシステム開発や公立校の改革のサポートなどを行っている酒井春名さんが、「私のように教員から一般社会に転職するケースはあまりない。だからこそ、その“レアカード”感を持ちながら新しく開発をしていきたかったので、起業ではなく、個人事業主として名のある企業の中で仕事をするスタイルを選んだ」と、ご自身の選択について語ります。

「起業家になりたいと思ったことは一度もなかった」とおっしゃるのは、個人で開発した家計簿アプリを550万人以上が使う国内最大級のサービスに成長させた、Zaim代表取締役の閑歳孝子さん。「高校生ぐらいからコンピュータに特別な関心があり、独学でプログラムも出来るようになり、多くの人に伝わるものをつくりたいと思っていた。結果的に起業した、その理由は、法人化したほうが利用者が安心だろうと思ったから」。

「うちは本当に弱肉強食のような家庭でして」と笑いを取ったのは、ファッションデザイナーで株式会社ユマコシノ アソシエイツ 代表取締役の小篠ゆまさん。コシノファミリーの「親を見て学んで、何でも自分でやりなさい」という教育方針のもと、自立心が養われ、「最初は反対されていたが、自分の手で会社をつくること、自分のブランドのブランディング、自分自身のブランディング、すべてを体感してわかって動かないと正しい結果が生まれないと思った」といいます。


小篠ゆまさん


伊藤麻美さん

DJからアメリカ留学を経て、父親の会社を継承しめっき業の社長に転身。悪化していた業績を再建させた事でも注目されている伊藤麻美さんは、「会社は10数億の借金があり、社員の生活を守らなければという思いと、めっき業という日本のものづくりを支える会社をつぶしてはならないという勝手な使命感によって社長になった」と、代表取締役に就任した2000年当時を振り返ります。

ファシリテーターの佐々木かをりは、今朝のトークセッションで小泉進次郎議員が「ストレスは乗り越える力になる」という話をされていた事に触れ、「私もささやかながら自分の会社を2つ経営しており、1社目はこの7月で30年目になる。社長であるということは、さまざまな試練があっても笑顔で居なければならないし、ある意味、自分と闘いながら大きな夢に向かっていくものだと思う」。

そして、話題は、起業してからの困難や社長としての決断へ。「起業して最初の1年ぐらいは多くの人に相談した。その内に、悩んでいても実は自分の中では結論が出ているということがわかってきた」と、閑歳さん。「自分の個性と、肌で感じる世の中の空気、肌感覚をミックスして、ここだという時に決断する」とは小篠さん。一方、伊藤さんは、「中小企業の経営は、大企業と違って、失敗すると家族が路頭に迷う。100年先を考えて未来のために投資が必要なこともある。いろんなものを見て、いろんな方と話して、自分の感受性を豊かにした上でジャッジしている」。

業種も経歴もさまざまな女性起業家たちが語るリアルな体験談、個性がほとばしる言葉の数々、惜しみなく差し出される知見に、会場のみなさんは熱心に聴き入っていました。

後半のインタラクティブなディスカッションタイムに入ると、会場から次々と手が挙がり、質問者の中には中学3年生で起業したという高校1年生や、今ちょうど起業体験プログラムでマネージャーを務めている高校生、マッチングスポンサーで参加した大学生など若い世代も多く、起業マインドが培われていることがはっきりと示されました。

登壇されたみなさんを追いかけるように、次世代の女性起業家たちがここから続々と羽ばたいて行くに違いない……。そんな風に予感させるセッションでした。

イー・ウーマンピアからのリポート

イー・ウーマンピアとは

いのくちさん

中学生起業家の参加にびっくり

円卓会議のテーマは毎回どれも魅力的で、どれに参加しようか悩みます。今年は「起業」を選びました。今一番関心があったからです。女性起業家のみなさんのパワーに溢れた話と、起業家なりの苦労話を生の声で聞くことができました。みなさん、苦労も多いと思いますが、それ以上にパワフルで、やはり前向きな姿勢を感じました。人材の活用など気になる点についてもお話伺えました。そして、さらに刺激を受けたのは、たくさんの起業家の方がこの円卓会議に参加していらして、さらに本音の言葉が聴けたことです。なかには、中学3年生で起業し、今高校1年生として参加していらっしゃる若き起業家もいてびっくり。聞けばその方は品川女子学院のご出身だとか。スピーカーのお一人、酒井春名さんは品川女子学院で教員として研修などもされていらした方で、こういう方が耕した土壌から、こんな若い力が芽吹いたのだなと感激しました。

マカロン71 さん

「起業でつくる新しい世界」を聴いて

佐々木社長の「女性の起業家は増えるでしょうか?」という問いに、コシノ氏は「増えると思います。何かを解決したい、こうしたいと思っていたら起業していました。自分で解決していく習慣を身につけていくことが起業家になるポイントです」と語る。また、閑歳氏は「責任感が全くわかっていなかったと社長になって初めてわかりました」と語り、佐々木社長の「準備中、2番目でやってきたときには、わからなかったのですね?」とのお言葉に、「全く自分で決断するという癖がついていませんでした」と振り返る。

この会議でも、質疑応答にかなりの時間を割いてくださいました。会場からは非常に多くの質問がありました。質問者の中には高校1年生で、もうすでに起業されている方もあり「なかなか会社全体をうまく回せない」など、堂々と臆することなくマイクを持って質問されていて、とても驚きました。

佐々木社長の「どのように新しい社会をつくられますか?」というご質問に、伊藤氏は「自分の分野では女性経営者が少ない。女性経営者だと新しい目線でいいと思います。そもそも女性の方が家電製品などを使うのですから、工業の部門ももっと女性の視点でやればいい」とご回答。またコシノ氏は「ゼロからモノを考えることに慣れています。それに慣れているので1歩前に出ることにも慣れています。新しいモノを解決する発想が必要で、プラスになればみんなハッピーになれる。もっとマーケットを考えて、新しいマーケットを作り出して、どんどん広げていきたいと思っています」と実例をまじえてご解説くださいました。

佐々木社長の「自分の生き方を自分の責任で、しっかりと決めていくことが大切」というお言葉も心に響きました。