労働時間を変えれば日本社会を救える
株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長
これまで900以上の企業に、残業を減らして業績を上げる働き方のコンサルティングを提供している株式会社ワーク・ライフバランスの小室淑恵さん。日本の働き方を大きく変えるゲームチェンジャーの登場に、会場の期待が高まります。
「実は残業を減らすと、業績が上がります!」
力強い第一声から始まった、小室さんのスピーチ。ほとんどの企業は、コンサルティングを始めると「ワークライフバランスを考えるなら、しばらく業績をあきらめなければならないだろう」という意見が出ると言います。小室さんはそれを「誤解」とし、ご自身の会社が残業禁止でありながら順調に業績を上げていること、トップ成績のコンサルタントは短時間勤務の女性であることを語ります。
そして近年は政府からの問い合わせも増えるなど、日本社会がワークライフバランスを必要としている実態を強調。そのことを示すデータがスクリーンに映し出されました。キーワードは、ハーバード大学のデービットブルーム氏が提唱している「人口ボーナス期」「人口オーナス期」。その国の経済発展と人口の構成比の関係に着目し、日本はオーナス(onus=重荷、負担)期、つまり働く人よりも支えられる人が多くなる状況へとハイスピードで移行したことが問題であると指摘。
「労働力が豊富な『ボーナス期』が終わったからといって、経済発展が終わりということではありません。『オーナス期』に経済発展するよう、ルールを変えていく必要がある、ということです」
なるべく男女ともに、短時間で、違う条件の人と……といった、これからの働き方の具体的なルールを示す小室さん。スクリーンをスマホで撮影する人、熱心にメモを取る人など、会場全体が大きな一体感に包まれていきます。
「時間制約があることは、女性特有のネガティブな条件ではありません。日本を救うために、新しいルールを『つくる側』になっていきましょう!」
二児の母である小室さん自身も、かつて育児と仕事のバランスに悩まれた経験があるそうです。その日々を振り返りながらの実感がこもったプレゼンテーションが終了すると、会場からは大きな拍手が沸き起こりました。
注)出演者の肩書きは開催当時のものです。