円卓会議102
組織のルールを変える。管理職女性たち
東日本旅客鉄道株式会社 JR東日本研究開発センター フロンティアサービス研究所 副所長
経済産業省 経済産業政務局 経済社会政策室長
グーグル株式会社 APACパートナー オペレーションズ事業部長
※ Fはファシリテータです。
この円卓会議では、組織で管理職として活躍する女性たちに登壇していただき、組織の中で大切にしていること、自らが起こしているシフト、課題等をシェアしながら、参加者とディスカッションしていきます。ファシリテーターは、午前中のトークショーでも登壇された青山朝子さんです。
「前半から変わらないこの熱気をそのままに、進めていきたいと思います」
青山さんの言葉で、会場の空気は早くもひとつになっていきます。
鎌田 由美子さん
坂本 里和さん
現在、JR東日本研究開発センター フロンティアサービス研究所の副所長を務める鎌田由美子さんは、2005年に「エキナカ」をコンセプトとしたビジネス「ecute」を立ち上げ大成功をおさめ、その後、子会社の社長に就任した経歴を持ちます。
「エキナカを推進するために、子会社から親会社への『逆出向』や、『鉄道事業』と『生活サービス』の融合を図るなど、新しいチャレンジをしました」
社内における女性の管理職の現状については、もともと男性中心の業界のため女性比率はまだ8%程度と低いものの、やりづらさを感じることはほとんどなく、「むしろ様々な業種の管理職の女性とお話しする中で、女性の自己評価が低いということをすごく感じます。しかし、できるかどうかわからないのは男性でも女性でも同じ。会社側も再チャレンジできる風土をつくればいいと考えています」
坂本里和さんは、2011年から3年間、経済産業省の女性活用推進を担当する部署で初めて管理職のポストについています。現在は中小企業庁にて、企業の創業支援を進める日々。鎌田さんと同様、「女性は自己評価が低いと感じる」と語ります。
「ダイバーシティを進めるうえで様々な企業の方とお話をすると、なかなか女性は管理職になりたがらないという話を聞きます。そこで『本人の話を聞かなくていいので、どんどん女性を起用してください』と言っています。私は事前に打診がなかったのでドギマギしながらも管理職につき、それでも自分なりにやっているうちに、ポストが人を育ててくれたように思います」
ランドバーグ 史枝さん
青山 朝子さん
グーグルでアジア太平洋地域のパートナーオペレーションを担当、企業に導入するプロダクトのサポートなどする部署を統括しているランドバーグ史枝さんは、米国で務めていた経験があります。帰国後に日本オフィスで勤務して感じたのは、女性に限らず「日本人は非常にいいアイデアをもっていても発言しない」ということ。
「そこで、私は自らどんどん発言していきました。1年くらいでそのあたりのカルチャーは変わってきたと思います。また、ルールの変更としては、まず残業を減らしたこと。担当業務の割合を全面的に見直し、1日8時間でまわるように組み替えました」
後半は会場からの質問を受けてのディスカッションです。現在管理職の方からは「男性を部下に持っているが、コミュニケーションのポイントは?」「上を目指したくないという若い女性が多い。管理職の面白さをうまく伝えるには?」。また、会場の半数を占めていた、現在管理職でない方々からは「女性だから管理職はできないという上司の意識を変えたい!」「現在大学生だが、管理職を目指したい。今からやっておくべきことは?」など前向きなテーマが次々と投げかけられ、会場と登壇者が一体となった議論が展開されました。
最後は「心が折れそうなときに支えてくれたキーワード」という質問に答える形で、登壇者から皆さんへのエールが送られます。ファシリテーターの青山さんも「あまり気負わない、がんばりすぎないこと。管理職はとても面白い仕事なんですから」と笑顔で締めくくり、心強いロールモデルである登壇者たちに熱い拍手が送られました。
Piano さん
おそらく200名くらいの方が参加されたと思われます。
青山氏のファシリテーションで、冒頭それぞれの方のバックグラウンドと今まで取り組んだことなどの自己紹介がありました。鎌田氏からは「女性は自己評価が低く管理職へのPromotionの話をしても40%の人が断る。とりあえずやってみる という姿勢が必要」坂本氏からは「伝え方の極意として、男性は誰に言われるかを重要視しているので、権力にすり寄るわけではないが権力のある人に理解していただき影響力を発揮していただくことが必要」ランドバーグ氏からは「現職では業務の担当制を見直して残業を削減し18時に帰っている。米国と日本との違いとしてはアジアの人は良いアイデアがあっても発言をしない」とのコメントがありました。
その後質疑応答があり9名の方からの質問を受けました。その中で私に一番響いたのは、「マネージャー・部長までは到達できるが、その上の本部長・役員のところにグラスシーリングがあるがどのように乗り越えていくのか」という質問でした。回答は、「自分のマーケットバリューを上げておく」「海外にもボーイズクラブがあるが女性のネットワークを作って対応している」「自分が役員になるために不足しているものをリスト化可視化しておき、そのチェックリストで確認していく」というものでした。
大変盛りあがった1時間10分でした。ありがとうございました。
ricvita さん
実体験に基づく、たくさんの心に響くキーワードがありました。
「管理職になってよかったこと」は、「視界が広がり、苦労も含めて自分自身が成長した」など、「自分が成長した」点が共通して上げられました。次に、女性登用については、「できるかでなく、やらせてみて、出来なくても再チャレンジの場を設ける」「誰でもチャレンジできる。完璧である必要はない。仕事はチームでやるものだから」「男性は出来ようが出来まいが、登用打診があれば受けるが、女性は周りを考え、自己評価が低くなりがちなので、本人に打診せず、登用していくのも手」という、組織側からの視点、「自分にまかせてください」という安心感を与えられるようにしておく」「自分のマーケットバリューをあげておく」「社内、社外にこだわらず、ネットワークを作っておく」「足らない点のチェックリストを作る」「食わず嫌いをせず、目の前にある山をまず登る」など、すぐにでも実行できる自分の価値を高める方法、そしていつでも準備しておくことの重要さを改めて認識させられました。その他にも、「男性は発言の中味ではなく、しかるべき立場、誰から言われるかで動く」「女性はポストよりも自由裁量権とやりがいを重視する」など、共感できる言葉が多々ありました。
最後に、各人が大事にされている言葉をいただきました。「プロモーションは階段を上がっていくもの、失敗は人事の責任であり、あなたの責任ではない」(ケンタッキー創業者は、60歳で起業した例をあげ)「人はいつからでも花ひらく」など。自分自身に置き換えると、仕事と家庭の両立で躊躇している部分がありました。が、「まずやってみる」「自分の価値をあげる」ため、「次にやりたい仕事」「そのための具体的なスキルアップ手段」を「しかるべき立場の人」に早速提出しました。結果はこれからですが、自分の中の迷いや甘えが消え、一歩を踏み出すことが出来たので、参加して本当によかったです。
注)出演者の肩書きは開催当時のものです。