このトークショーでは、英国財務省でもっとも高いポジションにいる女性、キャサリン・ブラディックさんと、金融庁 総合政策局総務課 国際室長で昨年はG20を率いた中川彩子さんが、金融業界に女性を増やす日英政府での取り組みについてお話します。
セッション3
講演・トークショー
Women in finance
日英が、互いに継続的に高め合いながら真の変化を起こしたい。
キャサリン・ブラディックKatharine Braddick
英国財務省 金融サービス部門 Director General
はじめにキャサリン・ブラディックさんが、英国政府が2016年から進めてきた、金融サービス業界において上部女性管理職を増やす取り組みについてプレゼンテーション。
英国政府は、生産性を向上させ継続的に金融サービスセクターを発展させるためには「女性の才能を最大限に使う必要がある」と考え、官民連携で調査を行い、その結果をもとに金融業における「憲章」を打ち出したといいます。
憲章には、上部管理職の女性の割合を増やすための目標値を設定すること、目標に対する進捗を毎年公表することなどの「誓約」があり、370の組織がこれに署名。加盟した組織には明らかな改善の成果が現れました。
「2019年、加盟企業の3/4が上部管理職の女性の割合を維持または増やし、約2000名の女性が上部管理職に就任。そして、ジェンダーダイバーシティが組織の最高レベルで議論されるようになった」
さらに、キャサリン・ブラディックさんは、日英両政府が金融サービスにおけるジェンダーダイバーシティのアジェンダで協力すると同意したこと、東京の英国大使館が開催したラウンドテーブルのことなどにも触れ、「ジェンダーダイバーシティに向けて、日本で同じ役割を担う方とともに仕事をしていきたい。お互いに継続的に高め合いながら真の変化を起こすことを望んでいます」と力を込めて語ります。
中川彩子Saiko Nakagawa
金融庁 総合政策局総務課 国際室長
これらの話を受けて、中川彩子さんは2つの質問を投げかけました。1つ目は、さまざまな業界がある中で英国政府はなぜ金融セクターを選んだのか。これに対しキャサリン・ブラディックさんは2つのポイントがあると回答。
2つ目に中川さんは、憲章の4つの誓約はとても革新的だと感じたといい、こう問いかけます。「管理職の女性の数に目標値を設定するなどの誓約には抵抗があったのではないでしょうか。どのような障壁があり、どのように対処したのでしょうか」
キャサリン・ブラディックさんの答えは、「目標値を設定することで少数派優遇策だと思われることを懸念した企業があった。しかし、実際に昇進する女性が増えることで、少数派優遇策ではなくビジネスをより効果的に進めるための基本的な課題だということが理解された」と、まず実績をつくることの大切さを強調。
そんな興味深いやり取りが行われているところで、あっという間に終了の時刻となりました。
日英の政府が手を結び、金融業界に女性を増やして行こうと歩みを進めていることがしっかりと感じ取れるトークショーでした。