日本をスケールアップするために各地の魅力を引き出し、もっと伝えていくためには何が必要か。全国各地で活性化に取り組むリーダー達が、地方創生の今とこれからをめぐってディスカッションします。
⽇本の魅⼒をスケールアップ。地⽅創⽣!
これからの地方創生。その核となるのは、「誇り」ではないか。
「この円卓会議を選ばれた皆さんは、どんな方々ですか? 自治体の方ですか? 地域で事業をされている方? これから地方に関わりたい方?」とファシリテーターでGoogle合同会社の山本裕介さんが会場に問いかけると、およそ3分の2が、今は都会に暮らしながらも、これから地方に関わりたい方だとわかりました。
それではと、「月の半分は奄美大島、半分は藤沢市」という勝眞一郎さんは、奄美市における地方創生の経験から、「プロジェクトで一番難しいのはゴールの設定」といい、「10年後こうありたいというイメージを具体的に描いてみんなで共有し、そこからバックキャストして、じゃあ5年後は、来年は、と決めていく。その次に難しいのは合意形成。それぞれの異なる思いがある中で調和をとりながらゴールを一緒に描いていくのにはエネルギーがかかります」。
「わたしも同意見」という鎌田由美子さんは、JR東日本で青森にシードルをつくる「A-FACTORY」を立ち上げた体験から、「もともと青森の名産であるりんごの価値と、加工によって生まれる価値、この両方の価値を共有できれば、若い人たちも入ってきてもっと大きな夢が見られる。それをゴールにしたんです」と語ります。
全部の都道府県にある酒蔵が海外ブランドになれば日本が活性化するだろう、と日本酒を世界の酒にする活動に国際的に取り組んできている平出淑恵さんは、英国ロンドンで開催される世界最大のワインコンペティションに「SAKE」部門を創設することに成功。しかしそこでチャンピオンを獲得した蔵元のある地域に、さらにいろいろと働きかけているものの、短い時間に合意を形成していくことはなかなか難しいと言います。そんな中、地域のキーマンが動くことによって市内の酒蔵をめぐる「蔵開きツアー」を実現した佐賀県鹿島市の成功例などもご紹介いただきました。
「日本の地方創生のポテンシャル、展望をお聞かせください」との山本さんの問いかけに、「都会でしっかり働いている人が週2日地方に入り、ボランティアではなく、何かをつくってマネタイズする。そういう動きが地方創生の鍵では」と鎌田さん。「ちゃんと価値を評価してお金を払って、そのストーリーを楽しめるような組み立てをすることが大切」と勝さん。
「改めて外の目からみると日本酒はブランドになる要素がたくさんある。歴史や文化、技術、家業での酒造りという蔵元の存在。いま日本酒の価値をあげれば、次の世代の人々の財産になる。海外に日本酒ビジネスの人材を育成して、その価値を上げていくのは、海外に日本を支えてくれる人を増やす事に繋がる。この環境を創るのは私たちの仕事」。平出さんも熱く語りました。
続く会場とのディスカッションでは、「今朝会場に一番乗りしました!」とおっしゃる愛媛県議会議員の方や、若い農業者と一緒に農業塾の企画をされている方、次の大阪博に向けて準備をされている方などから、それぞれの地域の課題が出され、4人のスピーカーからは貴重なヒントが次々に。
最後に、「自分と違う意見をシャットアウトするのでなく、どれだけ吸い込むことができるかがスケールアップにつながる」との言葉に、大きな拍手が沸き起こりました。