「未来を楽観できるものに変えていけるかどうかは、自分自身の意思にかかっている」
まずは学校設立までの道のりが、写真やデータとともに語られます。前職ではフィリピンに駐在し、国連児童基金(UNICEF)のプログラムオフィサーとしてストリートチルドレンの非公式教育に携わっていた小林さん。日本での学校設立を決意し、2007年に帰国します。 「激動の時代になる今、既往路線を踏襲する人ではなくて、大きな変革を起こせる人材を育成する高等学校をつくりたいと思いました。そのためには国籍だけでなく、経済格差、宗教観の違い、そういったいろんなダイバーシティを内包する必要があると」
しかし、翌月にリーマンショックが起こり、「ゼロ円からのスタート」に。厳しい状況でも資金調達に走り、9月入学など既存の日本教育にはなかったスタイルを作り上げていきます。
「起業家の友人の” Early small success”、初期段階は小さくてもいいから成功させよという言葉通り、最初は中学生を対象に、30人の小さなサマースクールから始めました。今ではサマースクールは80人の定員に対して、世界50か国以上から600人、700人という人たちの申し込みがあります。2014年には悲願であった全寮制インターナショナルハイスクールの開校にも漕ぎ着けました。しかし、成功体験に安住せず、次へといくことがすごく大事。今日のテーマの” Think Big”もそういうことかなと思っています」
そして現在の取り組みとして、世界150以上のネットワークがある学校群、United World Collegesへの加盟で学生らの可能性をさらに広げようとしていることを力説されました。
そして、話題はご家族のことへ。お子さんたちの写真が映し出されます。
「最初は四六時中働いていました。子どもが『おかあさん、いかないでー!』と泣き叫ぶなか、後ろ手でバン!とドアを閉めて…」と、思わず声をつまらせた小林さん。みなさんも真剣に聞き入ります。
「初めてそのとき夫に、『母親として失格なんじゃないか』と言われました」
それから一念発起、17時には仕事を終わらせて家族と過ごし、早朝を活用する「超朝型」へと切り替えた小林さん。朝のクリアな状態で集中したこと、チームに任せたことで効率が上がり、「仕事の成果はほぼ同じでも、時間的には30~40%くらい削れた」と言います。
最後に座右の銘として、フランスの哲学者であるアランの言葉を紹介してくださいました。
「 “Pessimism comes from our passions; optimism from the will.”悲観は気分に属するけれども、楽観は意志である、ということ。今、日本や世界を取り巻く情勢、自分の置かれている状況は、楽観できるものばかりではないかもしれない。それでも、それを悲観するのは、たぶん気分。その先にある未来を楽観できるものに変えていけるかどうかは、自分自身の意思にかかっている。ぜひこれからの激動の時代を、気分ではなく意思のある楽観をもって、一緒に拓いていければと思っています」
しなやかな生き方で夢を実現している小林さんの前向きな言葉に、多くのパワーを受け取ったひとときとなりました。