REPORT


対談「情熱こそすべて」




「無我夢中で長く続ける。なんでも、長く続けなければものになりませんから」

会場のスクリーンに、着物姿のしとやかな女性が映し出されました。そこから一転、情熱的な音楽とともに女性が着物を脱ぎ捨て、大胆なビキニ姿に! そしてポールを使ったダイナミックなダンスを披露します。迫力あふれる映像に、会場のみなさんは釘付けです。
世界中が驚き、注目した、イタリアのテレビ番組の動画。この女性が、現在イタリア在住の岡田智子さんです。テレビ朝日の宮嶋泰子さんがインタビュアーを務め、さっそく対談がスタートしました。

「まず、この素晴らしい肩!」と、宮嶋さんがノースリーブ姿の岡田さんのボディに感嘆の声を上げます。思わず笑い声をあげる岡田さん。
「いくつから始めたんですか?」
「62歳からです。8年間やっていますので、現在70歳」
会場から「ええーっ!」という驚きの声とともに、大きな拍手が沸き起こりました。

「ポールダンスというと、ナイトクラブなどで見られるエロティックなものと思われる方もいらっしゃると思うんですが、これはそういったものと違う」と宮嶋さん。 「違いますね。これは、ポールイクスジムといいまして、ダンスではなく、体操のために考案されたポールなんです」と岡田さんが解説します。




ここで、話題は岡田さんがポールイクスジムに出会う前にさかのぼります。それまでの職業はなんと「オペラ歌手」。ここでまたみなさんから驚きの声が。小2でカルメンのダイジェスト版を見てオペラ歌手になると決めたこと。音大卒業後にイタリアへ渡り、人種差別も経験。出演した費用を受け取るための書類を係員に持っていったところ「外国人は受け付けない」と言われ、書類を引きちぎって相手の頭に投げつけ、「あとで考えたら、ちゃんととっておけばよかった」というエピソードでは大爆笑が起こりました。

60歳でオペラ座を定年退職した頃、目が悪くなって通っていた医師から「身体を疲れさせないように」と注意を受けます。そこで岡田さんは、体をいたわるのではなく「体を強くすればいい」と考え、体操で徐々に体力をつけた頃に出会ったのがポールイクスジム。「石にかじりついてでも、絶対にやる」と決め、練習を重ねたと言います。

「すごい! 日本の女性で週に1回スポーツする人は39.7%なんです。一方、フィンランドなどでは80%以上、週に2回やる人は60%以上いるんですよ。年齢を問わず、やる人はこんなに上までいっちゃう」と感心する宮嶋さん。
「とにかく、やりたいという意欲ですよね。私はちょっと扉があると開けちゃう。そして走り続ける。止まっちゃうと、後ろを向いてくじけるタイプなので(笑)」

最後に岡田さんからみなさんへ、メッセージが贈られました。 「自分の好きなこと、自分に必要なことを見つけ、無我夢中で長く続ける。とにかくなんでも、長く続けなければものになりませんから。そのためには学校教育などのベースも必要ですが、それを長く続けるのは本人の意思です」 宮嶋さんも、「女性のスポーツ環境をもっと整えることで、日本の女性アスリートももっと輝くと思います」と締めくくり、お二人の情熱的なトークが幕を下ろしました。