「政府を動かす女性たち」
大門 小百合(F)
株式会社ジャパンタイムズ
執行役員 編集担当 (編集最高責任者)
「霞が関での女性管理職率は3.3%。その一握りのトップクラスの女性官僚の方々が今日ここに来てくださいました。ここまで来られるのは非常に大変だったと思います。そんなお話や、また、政策づくりのプロセスに女性が加わるということについてもお話いただきたいと思います」とファシリテーターはジャパンタイムズ執行役員の大門さん。霞が関は変わってきたのか?と、4人のスピーカーの皆さんに問いかけます。
まず、役所に入って38年目という村木さんは、入省時、女性は800人中わずか20人だった。この10年ほどで厚生労働省は1/3が女性になり「景色が変わった。肩の力が抜けた。脇道だけに追い込めなくなり、本流のところで女性が働くことを本気で考えるようになった」と言います。
続いて、女性初の総理秘書官となった山田さんは、「今年入省した女性の割合は初めて3割となり、人数が増えることはまず重要。ポジションが上がって行くにつれ、周りの男性のガツガツ度というか(笑)、競争も激しくなるという実感はするが、自分は自分でいつもマイペース、自然体だねと言われながら楽しく仕事をさせていただいています」と、まさに自然体の語り口調です。
外務省で女性参画を推進する松川さんは、「女性の割合も増え、20年程前に入省した時からは隔世の感がある。外務省はダイバーシティのある職場だとは思っていたが、それでも管理職になると会議では女性が一人のことが多い。夫も外務省員で同じようなポジションだが、長時間労働の中で、家事や育児の負担が私に集中しているのが不満。これは多くの女性に共通する問題では?」と、率直に話され、また、担当されている日本を変えて行こうという総理主催の会議「国際女性シンポWAW!」のことも紹介されました。
ICTを社会にどう浸透させ活用するかを仕事としてきた総務省の吉田さんは、「ここ数年、明らかに変わって来ている。若い管理職に対しても、時間や仕事量や配属先などを問わずに働く場を与えるという雰囲気ができており、我々もそのような要請に応えていくことが求められていると感じる」と言います。
さらに、村木さんが入省当時「ごめん、君にお茶くみをしてもらわなければいけないことになった」と上司に謝られたエピソードや、総理秘書官である山田さんの「やりがいもすごいが、ものすごく時間の制約の多い仕事。好きな時に食べ、好きな時に寝てという基本的人権は全く保証されない(笑)毎日」との言葉にはドッと大きな笑い声が湧き上がりました。
後半は、霞が関の長時間労働と子育てについて、民間学童の利用や両親の支援、マミーズトラックのこと、そして、政府に女性が入ることへの期待など、飾らない言葉でリアルな体験が語られ、短い時間の中に重要なエッセンスが凝縮されたトークタイムとなりました。
「このように素晴らしい方々が政府の中枢にいらっしゃることは非常に頼もしく、これからも頑張っていただきたいと思います」。大門さんの結びの言葉に、多くの人が共感したことでしょう。
注)出演者の肩書きは開催当時のものです。