「Diversity, The Power」
3つ目のトークショーは、女性エグゼクティブたちによる英語でのセッションです。NHKワールドニュース“Newsline” キャスターの高雄美紀さんがファシリテーターをつとめます。
高雄さんの「ダイバーシティにおける日本での変化は?」という問いかけに、ANAホールディングス(株)取締役などをつとめる小林いずみさんは、「国際女性ビジネス会議は、2007年、2008年、そして今年と3回目の登壇ですが、男性の参加者が増えたことに驚いています。日本も変わった。男性のトップがこの会議から学ぼうとしているのがわかります」と笑顔で答えます。
ゴールドマン・サックス証券(株)副会長のキャシー・松井さんは、「ウーマノミクス」という概念を最初に提唱した人物。日本において女性管理職の割合が高い上場企業はROEが高くなるという調査データを示して解説します。
「今、男性管理職への説得がなぜ大事なのか? それはこれまでダイバーシティが“女性の権利”として説明されてきたからです。しかし現実はそうではない。人口統計学的に様々な問題が起こっている日本にとって、ダイバーシティ推進は企業のオプションでなく、必須の課題」
その言葉を受け、2013年に伊藤忠商事の執行役員となった茅野みつるさんも、「まさに日本のその雰囲気を変えたい」と続けます。
「3年前に役員になったとき、メディアの反応に驚きました。46歳なのに『若い女性が』と。若いと言われて嬉しかったんですが(笑)、日本ではそんなふうにジェンダーや年齢等のレッテルを貼られてしまう。でも男女問わずに重要なことは何なのか。結局のところ、それは外部が貼るレッテルではなく、自分の中身や「資産」だと思います。私の資産はカリフォルニア州の弁護士として働いた経験と知識です。女性はビジネスとは直接的でないことも含めて、様々な資産を持っています。レッテルに惑わされるのではなく、自分の資産をきちんと認識して、躍進できると良いですね。」
さらに、話題はグローバルな市場におけるダイバーシティへ。小林さんは電気が充分に届いていないアフリカで携帯電話がATMの代わりとなっている例をあげ、「グローバル市場では、日本と同じビジネスモデルで打ち出すのは難しい。日本ではジェンダーに焦点を当てがちだが、ビジネスにおいてのダイバーシティは、違う考え方を打ち出すための活力」とコメント。キャシーさんも「日本では女性や高齢者、さらに外国人を建設や介護などの業界で雇用するなど、もっと潜在的な人的資本を社会に統合していく必要がある。そうでないと消費する市場が広がらない」と語ります。
「ダイバーシティとは、ビジネスモデルのことでもあり、一人ひとりの選択でもある」と高雄さん。「私たち一人ひとりがどう選択するかで、会社や家族が変わっていく。それがMake History!」と力強く締めくくり、パワフルに輝く登壇者たちに熱い拍手が送られました。
注)出演者の肩書きは開催当時のものです。