「リーダーが動かす日本のダイバーシティ」
ダイバーシティ推進における経済界の取り組みが重視されている今、国際女性ビジネス会議でも昨年から男性リーダーによるトークショーを設けています。今年も、日本を代表する3名の男性CEOがステージに上がりました。ファシリテーターであるアエラ編集長の浜田敬子さんが各社の取り組みについて問いかけ、議論が展開していきます。
「これだけ圧倒的に女性が多い場で話すのは初めて」と、やや緊張した面持ちで切り出したのは國部毅さん((株)三井住友銀行頭取兼最高執行役員、(株)三井住友フィナンシャルグループ取締役)。女性管理職の割合について具体的な数値を掲げる自社の取り組みとともに、ダイバーシティ推進には制度整備などのハードに加えてソフトが重要と語ります。
「男性管理職の意識、女性自身の意識、働き方の見直し。さらにトップのコミットメントが重要です。トップが女性の活躍推進をやり遂げるんだというメッセージを出し続ける。それによって男性管理職の意識も変わってきます」
続いて、「ここがまな板のように見えて、私たちが鯉のように感じられるんですけども…」と語って会場の笑いを誘った永野毅さん(東京海上ホールディングス(株)・東京海上日動火災保険(株)取締役社長)。
「私は今の國部さんの話とは少し違っていて、佐々木(かをり)さんともよく話してここは意見が絶対に合わないんですが(笑)、女性ということで区別するのではなく、とにかく徹底的に平等に『期待する、鍛える、活躍する機会と場を与える』。女性の活躍はその上での結果であり、そこに結びつくためのスイッチを私たちがどう押していくかだと思う」
製造業における女性の活躍の変化を語ってくださったのは小林喜光さん。((株)三菱ケミカルホールディングス取締役会長)。
「ICTの進化により、企業収益の源は“モノ”から“重さのない” 情報やその処理に転換しつつある。我々はものすごいトランスフォーメーションに直面しているが、こういう時代はむしろ女性のほうが優れているのではないか。一人ひとりの女性が自分の強いところをいかに発見して発信するか、それを一緒に考えていく時代になった」
男性管理職だけでなく、女性の意識改革についても言及。白熱する議論に、あっという間の25分が過ぎていきます。最後は「一番大事なことは自分たちがどうなりたいか。“自助”に勝る力はない。私たちができることは、自助にずっと火をつけていくこと」「女性の内なる岩盤を打ち砕いてほしい」など、女性たちへの力強いエールが送られました。そしてトークショー終了後、佐々木かをりが「男性の経済界のトップの方々がこういう場に足を運んでくださるというのは、私にとっては夢のようなこと。20年前には絶対にあり得なかったことが起きている」「昨年の登壇者、日本電気の遠藤社長が今年は客席でご参加のように本日の3人の経営者の皆様にも来年、是非引き続きご参加頂きたい」とコメント。まさに時代がここから動いていることを実感できた貴重なディスカッションとなりました。
注)出演者の肩書きは開催当時のものです。