管理職になろう
企業や社会で、様々な改革を実行するゲームチェンジャーとなる。そんな可能性をもった女性管理職を増やすための現在の課題について、皆さんと議論を進めていきます。
ファシリテーターの今井道子さんが編集長を務める「プレジデントウーマン」の調査によると、働く女性で管理職になりたい人は約2割と少数。アルヒ(株)のCEO、浜田宏さんはその数字が意味する真の課題へと迫ります。
「『なりたくない』と答える中に、『本当はなりたいけど、今の環境ならなりたくない』という意見もかなり入っていると思う。私がCEOになって最初に取り組んだのは、女性だけでなくシニア、外国人の方、すべての人にとって働きやすい多様性のある職場環境づくり。そうでないと会社も社会ももちません」
ネスレ日本(株)のメラニー・コーリーさんも、「ネスレ日本でも、伝統的な働き方から、柔軟な働き方へと環境づくりを進めています」とうなずきます。その上で、「女性が管理職になる機会があるなら、絶対に逃さないでほしい。私は女性が自分の人生で一番適したポイントで管理職になれる可能性を、できるだけ上げたいと思っています」と力強くコメントしました。
管理職の魅力を語ってくださったのは、カルビー(株)上級執行役員の鎌田由美子さんです。
「責任だけでなく『権限』が加わることで、自分の裁量で動ける範囲が広がり、仕事が進めやすくなります。また、部下も含めていろいろな勉強を一緒にやっていこうとアドバイスできる立場になるので仲間もつくりやすくなります」
さらに「会社の情報が増えて不安がなくなり、仕事がしやすくなるという魅力もある」という、(株)宣伝会議副社長の田中里沙さん。そして「会社はやはり成長していかなければならない。声をかけられたら、自分が変わり、会社が変わるきっかけとして一歩踏み出してみては」と、20代で編集長に抜擢されたかつての経験とともに語ります。
(株)リクルート ダイバーシティ推進部部長の伊藤綾さんは、「こんな管理職がいたらいいなというのを考えてみるんです」とアドバイス。
「私のときは、女性の編集長でプライベートにも時間を割く生活をされる方はまだ少数派だったと思う。そんな中で、ロールモデルを少しでも自分がつくっていくためにはどうしたらいいのかを考える。その繰り返しで、バトンを渡していくのかなと」
後半は、会場の皆さんとのディスカッションです。男性から「女性を管理職に引き上げる土台作りを進めているが、社内での軋轢も多い。どう支えていけばいいか」、建設業で管理職となった女性からは「男性社会の中で闘っている。同じく男性社会のJRで管理職だった鎌田さんはどうやってモチベーションを保ったのか」など、次々とリアルな質問の声があがり、多様な意見が交わされていきました。
会場全体で真剣に、ときには笑い声も起こる生き生きとしたディスカッションの後、今井さんが「皆さんと一緒に女性も男性も働きやすい社会をつくっていけたらと念じて、終わりにしたいと思います」と締めくくって終了に。参加された方からは「実体験の話が多く励みになった」などの感想が聞かれ、女性管理職がさらに活躍できる社会に向けて熱く前進したひとときとなりました。
Aiko_Seri さん
「発想の転換や初心の大切さ」
「管理職」を意識し始めた30代後半の私は、そのリアルな姿を知りたくてこの円卓会議に参加した。登壇された皆さんからは、管理職になって「責任の重い仕事は以前からやっているが、それに権限がつくので裁量が大きくなる」「情報量が増えるため先が読め、スケジュールが立てやすい」等の変化を感じているようで、思っていたより管理職への「壁」は高くないのでは、と思われた。しかし、会場の管理職経験者からは「立場が人を作るというが、自分よりスキルの高い部下に囲まれ、成果も出せず精神的に追い込まれた」「男性管理職が上ばかり見ていると感じ、これが私のやりたかったことじゃない!と失望した」などリアルな苦労が伺えた。そんな悲痛な声にも鎌田由美子さんからは、発想の転換や初心の大切さをご自身の経験から切々と語っていただいた。諦めずに苦労を乗り越えたからこそ、柔らかさと自信を合わせもった素敵な女性管理職になれるのだろう。唯一の男性登壇者であるアルヒCEOの浜田さんは「日本一多様性の富んだ働きやすい会社を作る!」と宣言をされていた。私たちの一歩踏み出す勇気と、経営者の熱い思いが重なれば、女性管理職はさらに増えていくと確信した。
makkyo925 さん
「未来のために、全員が改革必須!」
例年以上に多くの参加者で盛り上がったこの分科会では、出席者各々の立場と切実な現状、人によっては過去に立ち戻らないと前に進めない背景があることが浮き彫りになった。
女性管理職を誕生させるということは、①女性社員の意識&能力改革、②マネジメント側の意識&能力改革、③丁寧かつ本人と周囲が納得のいくキャリアアップの機会創出、何より④女性管理職を育成・登用するメリットを会社として明確にする…これらが相まって初めて上手くいくのだと感じた。それだけまだまだ、丁寧に育てるべき動きであることもわかった。
新生した会社経営者の浜田さんは、「理想の会社を創りたい」と何度も力強く仰っていた。誠意ある経営側は、表に出す・出さないに関わらず、きっとこの想いがその先のビジョンにあるはず。女性が管理職を考える時、目上の上司だけを見て「あの上司のようにはなりたくない」「自分には無理」などと安易に判断してほしくない。限りある命。この会社を活躍のステージとして選び、これから、何をどこまでどうしたいのか。管理職になれば…というメリットとリンクさせ、女性ならでは、自分ならではの志は何かを真剣に考えてほしいと感じた。
サチコ さん
「視野・視界が変わる感覚!」
「女性が管理職になる事のメリット」について、個人と企業の視点で考える事が出来ました。その中でも、管理職になって3年目の私が強く共感したのは「視野・視界が変わる」の話です。会社が目指すものに共感し、理解した私自身が、メンバーにその思いや考えを伝え、理解し主体的に動いてもらう。その結果、お客様の満足に繋がり、市場が動いたりする…。ダイレクトにエンドユーザーへの働きかけではなく、メンバーとタッグを組んで、事業を進めていく事の楽しさや、やりがいを見いだせ、感じられるのがこのポジション。明らかに視野・視界を広げてくれます。「役職が人をつくる」という講師からの言葉にも納得です。また、管理職になった後に、様々なライフイベントから、仕事時間の調整を必要とする時期があったとしても、その際は、見合った制度を利用し、選択した制度・フィールドの中で精一杯力を発揮する姿勢をとり続ける事が、「その時の自分」と「その後の自分」の支えになると感じました。そして、全てのベースにあるのは、やはり「情熱と志」。私も、一緒に働く方への感謝を忘れず、情熱と志を強く持って、貢献できる行動をとっていきます。
香月 美里 さん
「育て、育つ。共に覚悟があるか。」
開場を待つ長蛇の列に驚きました。数年前までは女性から敬遠されていたようにも思える「管理職」というテーマです。私が関心を持ったように、このテーマに興味のある方が増えていると感じました。
内容の濃さと質疑応答に期待しつつ入室、座席は既に半分以上が埋まっており、幸い見つかった前方に着席出来ました。私の席からは男性の姿はちらほら数人でしたが、もう少しいたのでしょうか。
6名の登壇者から、管理職とは何だろうか、管理職になるタイミングについてなどのディスカッションがありました。
質疑応答は時間を押して行われるほど参加者の手が何本も上がる意欲ある場面になりました。参加者自身が苦悩したこと、男性が多い管理者会議で魅力を感じなかった事例などを踏まえて問いかけ、登壇者の方々はご自身の経験を踏まえたアドバイスをたくさん下さいました。
実際に女性管理職を登用した方の「四面楚歌になり苦しんだ」という質疑がありました。浜田さんが「上司の役目は守り育てて甘やかさない。引き上げた人も覚悟を持つべきだ」というコメントに参加者が深く頷いていたシーンが一番強く印象に残りました。
Tarshu さん
「情熱とテクニック」
管理職になりたくない女性の数80%。これは管理職になりたいと思っているのにそれが表に現れないトリッキーな数字だとの登壇者の解にハッとさせられました。
それではどうすれば力ある女性たちが無理なく活躍できるのか。
その一つの模索が、アルヒの浜田社長が目指す日本で一番働きやすい会社かと思いました。コアの戦略やビジョンをしっかり共有すれば3時間勤務や土日のみ勤務でも会社は成り立つのではないか。如何にフレキシブルワーキング環境を整え社員に力を発揮してもらえるかが自分の仕事と明快に話されていました。午前中に東京海上の永野社長のおっしゃっていた女性活用の3K(期待する/鍛える/機会を与える)と合わせると、女性が(男性も)力を発揮しない社会など存在しようがないのではないか?と思わされました。
ただこの数字。裏を返せば女性を管理職にしたくないと思っている男性管理職の数字とも言えそうで、目下この数字と戦っている私には如何に惑わされず進むスキルをどう身に着けるかが課題。典型的な男性主導日本的会社で実績を上げきった鎌田さんの情熱だけでなく、きっと持っていたそのテクニックについて更にお聞きしたいなぁと思いながら一瞬で終了時間がきてしまいました。
注)出演者の肩書きは開催当時のものです。