リポート

円卓会議105

円卓会議105

「Board Diversity: 女性役員が違いをつくる」

秋山 咲恵

秋山 咲恵

株式会社サキコーポレーション
代表取締役社長

井上 ゆかり

井上 ゆかり

日本ケロッグ合同会社
代表職務執行者社長

牛尾 奈緒美

牛尾 奈緒美

明治大学情報コミュニケーション学部 教授
同学部 「ジェンダー・センター」
副センター長

橘・フクシマ・咲江

橘・フクシマ・咲江

G&S Global Advisors Inc.
代表取締役社長

佐々木 かをり(F)

佐々木 かをり(F)

株式会社イー・ウーマン
代表取締役社長

円卓会議の様子

まず初めに、「女性役員」を、初めて、国際女性ビジネス会議のセッションでテーマにした第16回は、50名程度の参加者。昨年は200〜300人、今日は400人近い人がこのセッションを選んでいる。この時代の変化は何なのか」と述べたファシリテーターの佐々木かをりが「上場企業の役員をしている方は?」と会場に問いかけると、10人以上が挙手。「上場はしていないが役員」という更に多くの手が挙がり、セッションのスタートです。

橘・フクシマ・咲江さん
牛尾 奈緒美さん

1995年にコーン・フェリー・インターナショナル株式会社の取締役に選任され、以来、日本企業では花王、ソニー、ベネッセ、パルコ、味の素、ブリヂストンなど多数の社外役員をつとめてこられた橘・フクシマ・咲江さん。その豊富な役員経験を通じて「女性だというのは個性の一部であり、さまざまな経験や知識をもったトータルな人間としての一部が女性であること」としながらも、「女性だから貢献できることがあるとしたら、それはズバリと原点を問うこと。相手が答えやすい聞き方をすること」。また、「社外の人間としての役割は、社外のベンチマークを持ち込むこと」であるなど、さまざまな企業でのエピソードをもとに、よく響く声で話されました。

続いて、フジテレビのアナウンサーから経営学の教授に転身、5年ほど前からセブン銀行、JXホールディングスの社外監査役や、共同通信などの社外の経営諮問委員をされている牛尾奈緒美さん。かつてボードメンバーの依頼を受けた際、経営者の方から「女性ならではの目線を」と言われて戸惑いを覚えたこともあったが、現在は女性役員も増え、それぞれの専門性に基づく自由闊達な議論が行われている。社外役員の人たちはかなり辛辣に意見し、自分自身も人事などについて注意深くチェックし指摘をしていると、 ご自身が体験されたここ数年のボードの変化を語ります。

井上 ゆかりさん
秋山 咲恵さん

井上ゆかりさんは、日本ケロッグの社長であると同時に、現在はサントリー食品インターナショナルなど2社の社外取締役をつとめている。その理由は、「年間ディベロップメントプランに社外取締役という言葉が入っているぐらい、社外取締役を通じて自分自身が成長することが本来の実務にもプラスになるから」と言います。さらに、一般株主の代表、一般消費者の気持ちがわかる者としてボードに入っているので、「どうしてこうなっているのか?」と正しい質問をするのが自分の役割と思っていると明言。

続いて、20年前に産業用ロボットのメーカーで起業した秋山咲恵さんは、小泉内閣の時代に最年少で女性の政府税制調査会委員に選ばれるなど、公職を歴任し、現在はローソンの社外取締役もされています。ローソンはボードダイバーシティに早くから力を入れており、取締役8名の内3名が女性。その中で女性役員は、痛いところを突く、ストレートに質問する傾向があると言います。そして、人事的なセンシティブな課題などについては、上手に指摘をしながら、「こういう観点からもう一度整理をされて、社長が承認されるなら私は支持しますがいかがですか」と合理的な整理を求めるようなかたちで提案をするなど、具体例を示して話されました。

佐々木かをり(F)

現在、日本電気、東京海上日動火災、AGPと、3社の社外取締役・監査役を務める、佐々木かをりのファシリテートで、具体的な質問で進められ、あっと言う間に30分が経過し、後半のインタラクティブディスカッションへ。会場からは、「パワフルなスピーカーの皆さんが最も成長したと思う機会は何か」、「社外役員としてどれだけ準備をして臨んでいるか」、「社内から生え抜きの役員を養成するにはどうしたらいいか」、「女性役員を増やすにはどういった取り組みが必要か」、「子育てをしながら役員になることはできるか」など、真摯な問いが次々と発せられ、そのひとつひとつに対し、経験に裏打ちされた示唆に富んだ答えがスピーカーの皆さんから伝えられました。

円卓会議の様子

最後にスピーカー全員が伝えてくれたのは、「泣きたくようなこともある。でも目の前のことを懸命にやって努力を続ければいつか報われる。諦めないで!」という力強いメッセージ。「女性ということだけでなく自分の持っている個人資産を活かして、貢献できるようにいい仕事をし続けましょう!」と、佐々木かをりが締め括りました。

円卓会議の様子 円卓会議の様子 円卓会議の様子

イー・ウーマンピアからのレポート

イー・ウーマンピアとは?

Aiko_Seri さん

女性活躍が本当に企業価値向上につながるのだろうか、その鍵は会社の中枢にいらっしゃる女性役員にあるはず!と思い、この円卓会議を選んだ。会場は300名を超える参加者で埋め尽くされていた。最初に役員会での役割についてお話いただいたが、皆さんがその場で実行していることは「疑問に感じたことは、ズバッと意見を述べる」というとてもシンプルなこと。けれど私はそれが「女性」役員の強みだ!と感じた。今までにない視点を付与するだけでなく、企業のガバナンス向上や、会議そのものの活性化など、数値に表れない効果があると確信した。また、会場から「何を意識して仕事をしてこられたのか?」との質問に、井上ゆかりさんは「comfort zoneより130%上を目指そうと決めていた。役員になれて、夢がかなってうれしい」と晴れやかにおっしゃっていた。皆さんに共通したワードは「決してあきらめない」こと。牛尾奈緒美さんは育児との葛藤もある中で、「懸命に取り組まれても報われること、報われないことはある。それでもいい。懸命にやり続ける」とメッセージしてくださった。等身大の女性役員の言葉に、大きな勇気をもらえた。

kazmy3 さん

女性+αで経営に貢献を!
会場は開会前から長蛇の列。以前同じテーマで開催した時には50人未満であったのが今年は350人と、まさに女性が会社の役員として経営に参加し社会を変えていく、Make Historyの最中にいることを実感しました。
登壇者の方々は、本業だけでも多忙を極めるにも関わらず社外役員を引き受ける理由として、「常に成長しなければならない」「自分自身が経営者として勉強したい」と口々に話され、さらなる成長意欲の高さにびっくり。
役員会では、社内では当然とされていたり、部下からは言い出しにくいことを、外からの目線でズバッと言う事で経営に貢献されているとのこと。役員を目指す会場からの質問へは、社長になったつもりで数字を把握し俯瞰して考えるように、との貴重なアドバイスをいただきました。
橘・フクシマ・咲江さんは、外資系企業のボードからおりようとした際に、「サキエ、大事な会社をall male(全員男性)に任せるのか?」と問われて残ることを決めたのだとか。日本全体がそうなるにはもう少し時間がかかりそうですが、自分には何ができるか。女性というだけでなく+αで貢献できるように良い仕事をし続けよう!という励ましの言葉で会議が締めくくられ、大いに刺激を受けた会議となりました。

makkyo925 さん

諦めない強さ、後悔しない行動
女性役員としての醍醐味と大変さをどう捉え、どう活かしているのかの“生の声”を聞きたくて参画しました。登壇者も私もこの場の参画者も、皆それぞれに内から湧き出る熱気と輝きを帯びていました。社外取締役も兼任されている秋山さん、井上さん、牛尾さん、橘さん、そして佐々木さんから強く感じたのは、以下の3点です。
① 誠意ある客観的・俯瞰的な視点で、当たり前の疑問を当たり前の質問として皆(=その会社の経営陣)に投げかけられる強さ。
② 一方で、“スーパーウーマン“な方々でも「私がそんなこと言っていいのか?」という葛藤を併せ持つ点。その内面に親近感を持ちつつ、それを乗り越えて「言うべきことは言う」強さ・しなやかさにさすが!と驚嘆しました。
③ 女性ならではの違いを生み出す強さとは、大変なことが多々あっても「諦めないでやり抜く。その結果、想いが実現する」こと。
まだまだ男性優位の社会の中でも、今、こうして実際に体現されている。その事実に励まされ、パワーを頂きました。
井上さんが、「常に成長していることを社員に求める以上、自分もディベロップメントプランを書いている」と響く声で仰っていたこと、私も今後実行していきます。

いけだまり さん

「意識」の違いが現在と未来を違うものにする
「意識」の違いが現在を創り、今後を変えていく力の源泉であることを強く感じる円卓会議でした。「女性であることは個性の1つ」(橘さん)であると、しなやかに強かに、本業で企業の代表などを務められている他に、外部取締役を兼任されている登壇者の方々。「20年前に外部取締役のことを知り、目標と」し実現された井上さんや、「選択をすること。時代・環境がよくなり、機会があったらやってみることが成長につながる」とおっしゃる秋山さんなど、登壇者みなさんの言葉の端々に、本来の能力以上に、意識の高さをも感じました。「中に入ると難しい、俯瞰できる力が必要」(牛尾さん)だというのも、意識。「ストレートに意見を述べる」(秋山さん)ことを大事にしているというのも、また意識。会場聴講者にも、既に企業役員の方も少なからずいらっしゃって、ほかにも多くの方が、将来目指しているのでしょう。一方、現在小さい学習塾を経営している私は、生徒・保護者への情報提供になればと聴講を決定。この意識の差が、現在の差となり、また将来の差になっていくのだろうと気づかされました。テーマとは若干離れたレポートとなってしまいましたが、私自身の意識変革を促された貴重な体験となりました。

coco1928 さん

「役員としての責務を果たすには」
自分も役員として働くようになったものの、もっと組織に貢献するには自分がどう変わればいいのか学びたいと思い、この円卓会議に参加しました。参加者は役員の方以外の方も多く、皆さんの目標の高さを感じました。
スピーカーの皆さんは、役員会は「ストレートに、思ったことを、厳しくいう」場であるとお話されていました。それは、「株主の代表である」「顧客の代表である」という意識を持って発言しているからとのことでした。私は役員の中で経験年数が最短であることから、遠慮して思ったことをあまり言えていないので、今後早速改善しようと思います。
会場からは、「スキルアップのために行ったことは?」という質問があり、橘・フクシマ・咲江さんが「コンフォートゾーンを抜けるために130%でやる」と答えられていました。これが人生を通して成長し続けるコツなのだと思いました。また、常に「もし自分が社長だったら」という視点を持ち、自分が会社のどの部分を担っているのか気づくことも大事だとのお話がありました。それがやる気に繋がり、また、そのことによって未来(キャリア)を描けるようになるのではないかと感じました。
「役員、リーダーになるにあたり準備しておくべきことは?」との質問には、井上さんが「リーダーは、変革する人であり、練習しないとなれない。違うことをどんどんやること、やったことのないことにチャレンジすることが大事である。」と答えられていました。チャレンジ精神を持って行動することは、自分や組織を成長させるために必要なことだと思いました。
最後に、皆さんが共通して仰っていたことは、「あきらめずに続けること。あきらめずに自分のやりたいことを頑張ること。目の前のことを一生懸命やること。チャンスを死にもの狂いでやって楽しむこと。」ということです。「あきらめない」がキーワード。仕事と家庭の両立等の大変さもありますが、あきらめないで結果を出せれば、自分も変わり周りの評価も変わる。そんな学びと勇気をいただいた、素晴らしい円卓会議でした。

Handsomelady さん

女性役員といっても、佐々木さんを含め全員が「社外役員」。執行役員ではなく、長いスパンで俯瞰的に経営を見る役割ということだ。
企業から乞われて役員になった女性たち。それぞれ自分のしごとをやりつつ、新しい視点をその企業にもたらすということだろう。みなさん弁が立つが、女性らしい柔らかさも併せ持っておられるように見受けられた。役員のお歴々の中で、彼女たちは異彩を放っているのかもしれない。まだまだ「女性」というくくりで社外役員を設置している段階なのだ、日本の企業は。彼女たちはそれをわきまえながらも、しっかり準備や勉強をし、自己の経験を活かして期待以上の発言をしているのだろう。
子育て経験者が佐々木さんと牛尾さんだけなのも少し残念だ。育児をしながら役員になるのが当たり前になるまで、まだまだ長い行程が必要かもしれないが、彼女たちを目指す若い女性たちに期待したい。

美百合 さん

会場はオープン前から長蛇の列。数年前にもこういったテーマの円卓会議に参加しました。その時は小さい部屋でしたが時間が流れ、世の中の女性の意識が大きく変わってきていると感じました。登壇パネリストが社外取締役をしている企業の男性役員が私のお隣の席にいらして話をさせていただきましたが、役職についていく男性がこの円卓会議に参加して女性社外取締役達と熱心に参加する女性達を見て、今後その企業や関わる企業から変化がおこり、日本や世界の歴史を新たに作っていくことも感じさせていただきました。
私は「時間は取られる、徹夜も何度も」という発言に他のパネリストも大きくうなづいていたシーン、そういう自分を楽しんでいるという言葉に、今一度自分の仕事に対する姿勢を正そうと思いました。仕事を楽しんではきたけれど、自分を楽しんではきていなかったことに気づきました。こういった気づきが必ずあるので、毎年参加しています。感謝。

注)出演者の肩書きは開催当時のものです。

過去の国際女性ビジネス会議のレポート

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