リポート

顔の見える支援「マッチングスポンサープログラム」

「マッチングスポンサープログラム」は、スポンサーとなる人がご本人と合わせて2名分の参加費を払い、東日本大震災の被災者の方や全国各地の高校生、大学生に参加をプレゼントする仕組みです。このプログラムにより、将来を担いながらも自分の力だけでは参加が困難な状況にある人を支援し、出会い、時間と体験を共有することができます。

初めて実施したのは2011年、大震災の4カ月後に開催となった第16回国際女性ビジネス会議。企業でも個人でも参加できるこのプログラムは熱い共感を呼び、多くの方からスポンサーへの申し込みがありました。会議当日、支援参加による学生のみなさん、仙台や石巻など被災地の方が見せてくださった笑顔と前向きな言葉から、私たちは大きな勇気と感動を受け取ることができたのです。

続いて2012年の第17回国際女性ビジネス会議でも実施、さらに支援の輪が広がりました。そして今年のマッチングスポンサーは、以下の方からお申し込みをいただきました。

乾 千嘉子様/遠藤 泰子様/金子 久子様(2名ご支援)/神田 千鶴様/里村 茂子様/三宅 海様/矢野 章作様/A.K.様/A.S.様/H.S.様/K.H様/N.U.様

イー・ウーマンおよびイー・ウーマン義援金から宿泊・交通費を支援し、今年も被災者・学生の方々をご招待することができました。まずはご支援いただいたみなさまに、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

支援参加希望の方々から届いたエッセイ

支援による参加を希望する方からは、申し込み時にエッセイ「会議参加を希望する理由・期待すること」を提出していただくことになっています。今年も真剣な志が伝わってくる、素晴らしいエッセイがぞくぞくと届きました。ここでは、その中から2名の女子高生の方のエッセイをご紹介いたします。

私の将来の夢は、国際弁護士になることである。私は今までに参加した様々なイベントを通じ、女性や子供に対するあまりにも無残な扱いの存在を知り、言葉を失った。また自分の無知さを痛感し、世界と繋がることの大切さに気づいた。それと同時に自分のヴィジョンは明確になり、恵まれた環境に生まれた私は彼らに感謝をもって貢献しなければ、と言う気持ちが心に芽生えた。
日本では女性の社会進出が進められているが、それでも弁護士の女性比率は17%ほどに留まっている。日本の女性の社会進出を進めるためにも、私がその先頭に立ち活躍したい。そのためにはしっかりと知識を学ぶことも必要だが、社会の仕組みや実態もしっかりと知る必要がある。国際女性ビジネス会議は女性に焦点を当てながらも世界と繋がることも重視しているため、私にとってとても魅力的である。特に、モニカ・カイザーさんによるジェンダーギャップについての講演は私に新しい問題提起をしてくれるだろうと期待している。
以上の理由から、私はこの会議で自分の視野が広がり、現在活躍されている方と繋がることが私の将来の可能性を更に引き出してくれると確信し、この会議に参加することを強く希望する。

私は、福島工業高等専門学校のコミュニケーション情報学科に所属しています。この学科は他高専にはあまり見られない文系学科で、コミュニケーションや経済について学んでいます。一般的な県立高校とは違う、一般的な高専とも異なる特殊な学科です。そのため、前例や模範となるものが乏しく、様々な情報を受身ではなく自ら積極的に集めなければなりません。私はこの国際女性ビジネス会議に参加させていただくことで、学校という狭いコミュニティから一歩踏み出した、広い世界を見てみたいと思っています。
東日本大震災は、自分にとって価値観を180度変えるような、大きな転換点となりました。これからの社会を生きる上で、何を学び、何を発信していくのか。変化のスピードが加速し続ける日本の成熟社会において、これからを担う私たちの世代は、その変化に対応してゆくことが、余儀なくされると思います。
震災という大きな出来事を経験した世代だからこそ出来る役割を見つけるために、この会議で多くのことを貪欲に吸収したいと思っています。少しでも早く、少しでも多くの情報や新しい世界を、自分の目で見て、耳で聞いて、知りたいのです。どうぞよろしくお願いいたします。

心震わせる、一つひとつの言葉。力強さに満ちたメッセージから、みなさんの国際女性ビジネス会議への大きな期待と情熱を感じ取ることができました。ご応募いただいた方の中から、今年は13名を支援参加者とさせていただきました。

支援参加者とスポンサーが出会った会議当日

そして、第18回国際女性ビジネス会議当日。会場では支援参加者とマッチングスポンサーのために前方の席が用意され、お互いの顔が見える支援となっています。それぞれのテーブルで挨拶が交わされ、支援参加者が感謝を伝える姿も。そして会場全体に熱い一体感が生まれていきました。

支援参加の方も、一般の参加者と同じくすべてのプログラムにご参加いただけます。真剣な表情で講演に聞き入るみなさん。そして、午後のインタラクティブなディスカッション…。10時間に及ぶプログラムの最後は、志の高い仲間たちと交流を深めるネットワーキングパーティです。みなさんの感動が最高潮となった終了間際、佐々木かをりの呼びかけにより、マッチングスポンサーのうち8名の方と、支援参加の方々が壇上に上がりました。

「刺激をたくさん受けた。これを石巻で生かして行きたい」と語る、支援参加の大学生。「充実感、感謝、人とのつながりを感じている。この会議のファンになった。来年もぜひスポンサーになりたい」と言うマッチングスポンサーの方。そのまぶしい姿に、会場から割れんばかりの拍手が送られます。サポートする側、される側の想いがつながったこの日。来年、再来年へと続くプラスの連鎖を予感させ、会議は幕を閉じました。

支援参加のみなさんから感謝のメッセージが

会議終了後、支援によって参加された被災者の方、高校生、大学生のみなさんから感動と感謝のメッセージをいただきました。ここでは、その一部をご紹介いたします。
※文章は一部抜粋、編集しています。

新野 佳世さん(宮城県在住、社会人)

私がこの会議に参加を希望した理由は「あの震災の時、何ができたかのだろうか」についてヒントが欲しかった、自分自身が元気になりたかった、からです。
佐々木かをりさんがおっしゃる通り、あっという間の10時間でした。
私の役目は、みなさまの善意で頂戴したこの機会を、私の分野で社会に還元すること。私がリーダーとなり行動すること。今回私を応援してくださった方たちが、一番喜んでくださることは、これだと思っています。

佐藤 文さん(福島県在住、高等専門学校生)

自分が生まれる前から始まっていたこの大きな会議に、終始圧倒され、驚きの連続でした。
会議全体を通して、高校生という自らの“コンフォートゾーン”に甘んじている弱さを痛感する結果となりました。今回の会議は、気持ちの上で大きな転換点となり、自分を見つめ直すきっかけともなりました。今後もたくさんのことを学び、考え、いつか自分なりの形でこのご恩を返すことが出来たらと思っております。

釣巻 洋子さん(京都府在住、高校生)

日頃「記録より記憶」派の私ですが、どのお話も一字一句聞き逃すまいとメモをとることに徹しました。とくに、林文子さんの講演、「ビジネス女性が、日本を動かす!」のセッションは圧倒されました。
会議中、ある方とお話させて頂いたときに笑顔で言われました。「あなたの年齢ならこれから沢山の視野と選択肢を広げられる。それがとてもうらやましい。いっぱい、良い経験をしてね」と。
この言葉を聞いたとき、自分が今、どれだけ幸福な体験をしているのか痛感しました。そして、この会議に参加できたことを心から嬉しく思いました。今回の参加は、マッチングスポンサーの方のご支援が無ければ実現しませんでした。本当にありがとうございました。

アスタ・トゥラダールさん(愛知県在住、大学院生)

この会議に参加できた初めてのネパール国の留学生として、マッチグスポンサーの方々に深く感謝申し上げます。大変多くの応募者の中から私を選んで下さったことに感謝しています。
ネパールでは女性が一人で留学することはまだ珍しい中、私は日本へ留学し、農業を専門に勉強しました。輸出できる商品を開発することで大勢の女性が就職でき、経済的に自立できることを信じています。本会議で素敵な出会いができました。これからも自分の可能性に自信をもって前進したいと思います。本当にありがとうございました。

K.S.さん(福島県在住、社会人)

福島で仕事をしようと決めてから起きる奇跡の連続が、会議参加のチャンスをいただいた時から始まり、会議で出会った方々との新たな繋がりでも起きました。
先の見えない、未来を予測すると悲観的になる福島の現状ですが、奇跡を信じて頑張ります!そして今回出会い、社会的弱者の問題に目を向けてくださり励ましてくださった方々の思いを受けて、長期戦で取り組まねばならない活動に従事します。

稲田 玲奈さん(香川県在住、高校生)

私は初め、このイベントに参加しても、社会人の方々の話についていくことができないのではないかと心配をしていました。しかし、横の席に座ってくださったスポンサーの方を初め、沢山の社会人の方はとても優しく話しかけてくださいました。
私もいつか今回の経験を活かし、社会で活躍できる人材となり、今度はスポンサー側としてまた参加したいです。本当に素敵な機会をありがとうございました。

小山 春香さん(東京都在住、大学生)

学生のうちにこういったビジネス会議に参加できたことは、私にこれからどうやって自分の道を切り開いていけばよいかのヒントを与えてくれました。ぜひ私のような学生の方々には参加してほしい会議だと思いますし、マッチングスポンサーといった制度は志の高い学生が参加するのに大きな支えとなってくれています。自分を支援してくださった方にも直接お礼を伝えることができ、とても整った制度であると感じました。

山下 莉々加さん(埼玉県在住、高校生)

私は、高校生対象の社会的イベントには参加した事があるが、大人の社会的イベントは初めてだった。しかも、国際女性ビジネス会議であるため、初めて見る会場の光景に圧倒された。私も、将来、会場にいる人々のように、意識を高く持ち、輝きたいと強く思った。
私をマッチングスポンサー枠に選んでくださったスタッフの皆様、マッチングスポンサーとして私の為に金銭的な支援をしてくださった皆様に深く感謝とお礼を申し上げたい。

長谷川 仁美さん(東京都在住、大学生)

ダイバーシティ経営や女性管理職の働き方についての円卓会議で、現在多くの企業がダイバーシティ経営を重視していることを学びました。ダイバーシティ経営の前提として、個人が得意分野を持つことが必要です。そうでなければ活かすべき「多様性」が無いからです。現在私が社会で通用する武器を持っているかは定かではありませんが、これからの社会人生活で確実に身につけたいです。マッチングスポンサーとして支援していただいた皆様、実行委員会の皆様、本会議でお会いした全ての皆様に感謝します。本当にありがとうございました。

舩山 司さん(福島県在住、高校生)

私は男性でしかも高校生というまだまだ未熟な立場で参加させていただきました。様々なお話の中でも印象深かったのは、円卓会議の「世界の子どもたちに貢献する」でした。男性では思いつかない発想があり『あーなるほど』と思いました。
私は工業高校に通っているので、まさに、男性社会だと思います。帰ってきてから、学校に通っている女性に対する考え方や接し方が変わったのかなと思いました。
これから社会に踏み出していくので、この少しでも変わったことを社会に出ても続けていき、より自分の中で変えていきたいと思います。また、この貴重な経験で変わったことを周りの同級生などにも発信していきたいと思います。ありがとうございました。

木田 千枝さん(福島県在住、社会人)

今回の会議では、何度も「共感」「ロールモデル」というキーワードが出て来ました。障害によって社会との接点を持たず、閉塞感を感じているひとに共感することの大切さ。その問題を打開するロールモデルになることは出来るのか。また、私と同じ考えで奮闘している方がたくさんいることを、多くの方たちにも知って欲しい。その思いを持って参加する会議での学びや人との出会いは、これから行く先の道しるべなのです。今回の会議にて、支援くださったたくさんの方々に、感謝を申し上げます。ほんとうにありがとうございました。

野田 麻美さん(東京都在住、高校生)

先日は国際女性ビジネス会議に参加するという機会を頂き、本当にありがとうございました。若者を鼓舞するようなメッセージをたくさん聞けてとても励みになりました。私は円卓会議第1セッションで参加した「政治を動かす。政策を考える。」に最もインスパイアされました。今まで政治家はすごい人なんだというどこか遠く、抽象的な政治家のイメージがこの会議で憧れに変わりました。

注)出演者の肩書きは開催当時のものです。

過去の国際女性ビジネス会議

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