競争力のある日本女性
株式会社日本総合研究所 理事
爽やかな白いジャケットで登場した翁 百合さん。スピーカー3人目となった会場はますます熱い一体感に包まれ、みなさんの真剣なまなざしが壇上に注がれています。お話は、まず翁さんの自己紹介から始まりました。
翁 百合さん
翁さんは現在、日本総合研究所の理事という立場から日本経済について分析や提言を行っています。金融市場が専門分野ですが、それをきっかけにして不良債権問題にも取り組み、産業再生機構の仕事に関与して、金融危機の克服にも尽力されました。政府関連では、佐々木かをりとともに内閣府の規制改革会議の委員に属し、日本の規制を改革して成長させることに取り組んでいます。
スピーチのテーマは「競争力のある日本女性」。前のスピーカーであるキャシー松井さんの言葉を受けて、翁さんも日本の労働市場における女性の課題と、男女平等の実現によるGDPアップの見通しを挙げ、「日本女性の潜在能力は極めて高い」と語ります。そしてダイバーシティ経営を推進している企業のCEOや中間管理職にはどのような特徴があるのかを述べた後、いよいよ話題は私たち女性が競争力をつけるために、すぐに取り組めることについて展開されていきます。
「ひとつは自分自身これだという、プロフェッショナルといわれることにチャレンジすること。不確実性が高い社会の中で自分が自信をもてる専門性を身につけていくことは、社会人としての強さや生きがいにつながっていくのではないか。2つ目は、結婚、出産、転勤などの変化を乗り越え、長期的な視野でねばり強く、あきらめないで仕事を続けていくこと。3つ目は仕事人間にならないこと。仕事以外のさまざまなことに興味をもち、組織の論理に染まらず、広い視野で、バランスのとれた判断力を身につけていくこと。特にリーダーは、このバランスのとれた判断力というのがとても大事だと思います」
今後も規制改革などを通じ、少しでも女性の活躍をバックアップできるような体制をつくっていきたいという翁さん。そして「これは女性だけの力では変えられない。日本の男性が変わらなければいけない」とも。男女が力を合わせていくことで、日本の企業が強くなっていくことを確信させてくれた熱いスピーチに、みなさんから盛大な拍手が送られました。
注)出演者の肩書きは開催当時のものです。