「日本のポジション ジェンダーギャップ」
経済協力開発機構(OECD)事務局 雇用労働社会問題局 社会政策課長
「日本は非常にエキサイティングな国。特に女性に注目が集まっています」
この日2番目のスピーカー、モニカ・カイザーさんの英語によるスピーチがスタートしました。モニカさんは、この会議のためにパリから来日。佐々木かをりがOECDパリ本部のフォーラムでスピーチをしたことから知り合い、国際女性ビジネス会議での登壇をお願いしたところ快諾していただき、今日のスピーチが実現しました。
モニカ・カイザーさん
モニカさんは現在、OECDの雇用労働社会問題局 社会政策課長として、加盟国の雇用などの改善に取り組んでいます。今日は豊富なデータとともにそのプロジェクトの結果についてお話いただき、国際比較における日本の特徴、特にジェンダーギャップに関する課題について掘り下げていきます。
最初のデータは教育、そして職業。日本の女性は「最高へのコミットメントが出ている」とモニカさんが表現するように60%が高等教育を受けていますが、職業の分野には男女差があると言います。女性が多いのは保健・福祉分野。一方、科学技術、コンピュータ関連は男性が中心とのこと。この分野に女性が進出することが、新たな可能性を広げていくことがわかります。「サイエンスを恐れてはいけないのです」というモニカさんの力強い言葉に、会場全体の空気も引き締まります。
その後も、日本固有の問題が挙げられました。男女の賃金格差がキャリアスタートの時点ですでに大きいこと。管理職や取締役、企業家、議員の女性比率が、先進国の中でも非常に低いこと……。さらに、家事や育児についても話が展開していきます。育児に協力する男性の比率の低さも日本の特徴のひとつ。これには「ロールモデルが必要。男性全員の意識が変わり、職場環境が変わらなければ」とモニカさんが進言します。次々と示される豊富なデータを会場のみなさんが真剣に見つめ、あっという間に時間が過ぎていきました。
「労働市場が男女平等になることが、日本の経済発展につながる」という強いメッセージで締められたモニカさんのスピーチ。世界の中での日本の立ち位置とともにこれからの道筋が明確に示されたプレゼンテーションに、拍手をするみなさんの表情にも力がみなぎっていました。
注)出演者の肩書きは開催当時のものです。