円卓会議 302
世界一を目指すマインドを育てる〜子どもたちも、大人たちも
グローバルな視点をもち、世界一を目指そうとする志や意欲を育てる。そのために必要な環境とは何かをディスカッションしようというこの会議。最初にファシリテーターの佐々木から、「ここで言う世界一とは、自分の中での金メダル。そして、リミットを決めないで上を目指して向かって行くことを『世界一を目指すマインド』と呼んでいます」と、世界一が示す意味について説明しました。
石戸 奈々子さん
太田 雄貴さん
インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢設立準備財団で理事をつとめる河野さんは、「前職で、グローバルなセッティングの中で日本人の競争力のなさをひしひしと感じた。これは何とかしなければと思って今の仕事に転身した。現在、リーダーシップ教育を行っているなかで、機会さえ与えればどんな子でも自分の得意分野の中でリーダーシップを発揮できると感じている」と、語ります。
子ども向け想像・表現活動を推進している石戸さんは、「教育は100年間変わって来なかった。その一方で、デジタルが世界的な学習革命を起こせる可能性があることをMITメディアラボで目のあたりにし、日本で世界一の子どもたちの学びの場をつくりたいと思った。」
大学の頃は宇宙に行くのが夢だったが、MITでメディアラボと出会ってしまったというエピソードには、会場から感嘆の声も。
今日、午前中の会議から大活躍され、また、この後の深夜便でブダペストに渡航するという太田選手は、「22歳で北京でとったメダルと26歳でとったメダルが、同じ銀メダルでも価値が違った。想像できた大きな絵も、それぞれの年齢によって違った。それは、フェンシングだけでなくいろいろなものを吸収しながら成長したからだと思う」と、爽やかな笑顔で。
4300日休んだことのなかった練習記録をストップしたくだりには、会場中に笑いがあふれました。
続いて、ファシリテーターの佐々木が問いかけます。「安心環境に居ると子どもは育つ、やる気を出すためには安心安全な環境を大人がつくることが大切とも言われています。私たちは、どうすれば子ども達にやる気を出させ、志を育てることができるのでしょう?」
これに対し、3人のスピーカーからは「成功体験を植え付ける」「子どもにとって遊びと学びは同じ」「一歩踏み出して創り出してみる」「誰かと一緒にやる」「個人の能力を磨く、群れから引き離すことが大切」「褒めてもらうことはモチベーションになる」「原動力は自分が楽しいこと!」「願えば叶う!」「感謝を忘れない」「自分のコンフォートゾーンを一歩出てみる」などなど、それぞれの体験に基づく貴重なキーワードが語られました。
後半、インタラクティブディスカッションの時間になると、会場では一斉に大勢の方が挙手。「大学生をどうわくわくさせるか」「子どもや部下に目標を持たせる工夫」「日本人の強みは何か、どう育てるか」「成功体験から一歩踏み出すには」「アウェイな状況で戦うには」などさまざまな角度からの質問が飛び出し、熱心に心を尽くした対話が繰り広げられました。
最後は、「大人や先生ができないことを子ども押しつけでも無理。まず、私たち大人のひとりひとりが、この瞬間から、リミットを設けずに上へ上へ、前に前にと進んで行きましょう!」と、佐々木が声高く呼びかけ、昂揚感とともに終了となりました。
河野 宏子さん
佐々木 かをり
ねこの散歩 さん
表題から、どんな内容の会議になるのか、とてもワクワクしました。世界一。誰もがなれるものではないと思っていましたが、世界一って、結局は、自分の中で成長し続ける、ということが大切で、自分の中での金メダル、ではないけど、昨日より今日、今日より明日、と制限を決めないで上昇していくマインドのこと、だ、と聞いて、何か、ホッとしました。それなら、自分でもできる!と勇気づけられました。そして、その気持ちをどう維持していくのか、について、実際にそういった場をくぐり抜けてこられた3人のコメンテーターからのお話には、大きな説得力がありました。安心環境にいるのではなく、自らリスクをとる力、楽しくワクワクしながら過ごすこと、待っているだけでは何も変わらない、自分から動いていく、ということ。楽しんでやることは、もちろん大切ですが、その裏には、常に努力されているということ、そして努力することはプロとして当たり前である、こと。
子どもはもちろんのこと、大人だって、世界一を目指すことができる。明るい光が差し込むような気持ちになれた、皆さんの話に魅了された1時間でした。
yonesuke さん
何より楽しみにしていたのは、フェンシング太田雄貴選手の話を聞けることだ。北京オリンピックの頃から、この人の伝える力はすごい!と注目していた。午前中のトークショーでも、具体的な例とユーモアを交えつつ、理路整然と話す姿に感動した。また、デジタル絵本にとても興味を惹かれた。わが子も現代っ子らしく、デジタル機器大好きだ。できるだけ触れさせないようにしてきたが、「教育は100年間変わっていない。しかし今、デジタルが教育を変えようとしている」との言葉に、デジタルに対する見方が変わった。
自分自身の金メダルとは、自分のマインドをどう置くか?そのために必要なことは?会議で話されていたのは、安心できる環境にいると、子どもはやる気を出すということ。だからこそ、リスクを取る勇気を持てるようになり、confort zoneから1歩踏み出すことができ、新たな発見が得られるようになる、そこからまたさらなる向上心が生まれるということ。この好循環に身を置くためにはどうしたらいいのか?やはり、目指す方向を上に上に保ち続けること。子供だけじゃなく、まず大人から。講演者の方々が、柔らかい自然体で、明るい人柄だったのも印象的な会議であった。
smile さん
世界一を目指すマインドを育てるにはというテーマで3名のパネラーからたくさんのキーワードをいただきましたが、総じて何事もLimitを決めないで、安心できる場とツールを渡し、前へ進むことがグローバルに通用する人柄を育てることだと感じました。
3名ともグローバルに活躍されていますが、とても優しく親近感がわく雰囲気があることに、驚きました。また、発言内容がとてもロジカルで、わかりやすかったです。特に、太田選手は、スポーツだけに打ち込んできたのだろうという先入観があり、どんなお話が聞けるのか想像がつかなかったのですが、そんな自分が恥ずかしくなるくらい、太田選手のお話には大変ひきつけられました。お話の内容が大変魅力的で、説得力があり、私自身も太田選手のような子供を育てたいと思ったくらいです。私にはまだ子供はいませんが、これまでの自分はどう育ったか、また、これから子供にはどう育てたいかということをあれこれ考えさせられた会議でした。なかなか周りには聞けないことを、円卓会議で吸収することができ、大変勉強になりました。これからの自分自身と子供を持つことに楽しみが増えた気がします。
鴨谷香 さん
デジタルを強みに教育革命をおこす株式会社デジタルえほん代表の石戸氏、いわずとしれたフェンシング2大会連続メダリストの太田氏、軽井沢にインターナショナルスクールを立ち上げる準備をされている財団理事の河野氏という様々なフィールドで活躍されているお三方のお仕事・事業内容と、現在のご活躍に至るまでの人間形成の過程、人との出会い、ご自身の経験をご自身がどう解釈されているか、をじっくりと伺いました。
キャリアアドバイザーの仕事をしている私にとって、成功哲学というほど大げさではないですが、飾らない日常を積み上げ、現在のご自身を肯定されている姿はとても印象に残るものでした。石戸氏の明るさ、「楽しさが原動力です!」という笑顔、困っているときや躓いていたときは誰かが助けてくれる、という人生観からは、自分と人を信じて、目標を達成し続けてこられた強さを感じました。太田氏のお話は例え話もわかりやすく、ひきつけられました。4300日欠かさなかった練習が途絶えたときの一皮むけた経験のお話、群れから話される経験や、人生の「必要な時に必要な人に会った、合わせてもらった」ことが今の強さをみにつけられたのだと納得しました。河野氏の外資企業でぶつかり、「言葉にしなくても大丈夫」という日本の素晴らしさを再認識されたご経験、母親としてのご経験を経て、教育を産み出す事業に携わる過程からは学校や教育の無限の可能性を感じました。学問や学びとは、ドキドキワクワクするものであり、学校を卒業してからの出口はいくつもあり、学びは子どものものだけではないことを力強く伝えてくださいました。
人生80年時代、大人が学ぶことで大人も子どもも豊かになっていける、おもしろい時代を創っていけるのだ、と私もわくわく、自分にも、子どもにも学びをキーワードに変化をつくっていこうと思います。
オバナ さん
自分が生きていく上で、前向きに進んでいけるように、落ち込んだり、くじけそうな時も道を見失わないように、原点に立ち返る言葉をいくつもいただきました。憧れであり、尊敬する皆さんの実体験から基づく言葉は本当に胸を打つ、そして絶対に忘れたくない言葉達でした。まずは楽しむということ。「楽しむ」というお話は会議中何度も出てきていて、本当に大切なんだなということがとても分かりやすかったですし、私自身も大変受け入れやすかったです。まず楽しむこと。そうすれば続けていける。そして、一生懸命努力すること。「結果を生むには努力は当然であり、ほめられたいと言う気持ちを持ってはいけない」という太田さんの言葉は、痛いほどに心に刺さりましたが、今までの自分が如何に怠惰で甘かったかを思い知らされました。しかし、①楽しんで②一生懸命やることで③周りの人も理解し、協力してくれる。そして周りを巻き込んでいければ④結果もちゃんと出せるというサイクルは本当に素敵だなと思いました。そして、自分でもそれが実践できる人間となれるように、この思いを忘れずに日々頑張っていこうと思いました。他にも沢山、人生の教訓としたいお話を沢山していただき、この会議に参加できて本当に良かったと思っています。
ゆり さん
太田さんが小学生の時、フェンシングの試合に勝つと、お父さんがほめてくれるのが嬉しくて、試合に勝ち続けた、っていう話を聞いて、太田さんのお父さん、ってきっとすごく子供を愛していて、そして、親子愛にみちた家庭なのだろうなあ、って思いました。いつも全力で戦っていて、成功体験から一歩先に出たところでも、井の中の蛙にならすに、いろいろなことを全速力で努力して実行していく、っていうお話を聞いていて、本当に、素直に努力ができて、ちゃんと周囲も客観的にみれるところが素晴らしいなあ、と思いました。いろいろな経験を前向きに吸収できる強さがあるのだと思いました。河野さんのISAKのサマースクールの話も印象に残りました。様々な国の様々な立場にいる人を集めて行っている、と聞いて、そのような人を集められるところが、すごいと思いました。ただ希望者を募って、そこで教えるのではなく、目的をもって人同士の交流の場を作る、という教育の意図が素晴らしい、まさしくダイバーシティーだとおもいました。あと、安心、安全な環境を作ると、子供が伸びる、というのは基本中の基本だと思いました。親が子供に必ずしてあげなくてはならないことですね。
注)出演者の肩書きは開催当時のものです。