円卓会議 204
世界の子どもたちに貢献する
江端 貴子さん
城谷 尚子さん
この会議では、国連やNGO、NPOなど「世界の子どもたちに貢献する」活動の最前線から仕組みづくりなどの後方支援まで、さまざまな場で活躍されている4名の講師の方を迎え、「私たちができること」を考えて行きます。
「プラン・ジャパンという団体をご存じですか?」と城谷さんが問いかけると、会場のほとんどの方から手が挙がります。世界50か国で活動するプラン・ジャパンは、男の子よりも困難な状況にある女の子に生きていく力をあたえようというキャンペーン「Because I am a girl」を進行中と、城谷さん。
イー・ウーマン働く人の円卓会議の議長としてもお馴染みの根本さんは、15年間国連機関で銃弾飛び交う中での難民支援や、UNHCRで世界中から寄付を集める統括などを手がけられた経験から、世界の難民の半数が18歳未満の子どもであること。子ども達に希望を失わせないために、オリンピックのメダリストを難民キャンプに招いたエピソードなどを、力強く語ってくださいました。
つづいて、もともとは日本に来た難民の人々を弁護士として支援されていた土井さん。現在代表をつとめている国際的な人権NGOの活動は、「子どもや弱い立場にある人達の外交官」。困っている人にはお金や物・サービスを提供するという支援が多いなか、問題の元にある紛争や人権侵害などを解決すべく、必要な調査や国への政策要請などを行っていると、それまでのお二人とは違った支援の在り方をテンポ良く紹介。
国際女性ビジネス会議でもご登壇回数の多い江端さんは、政治家として後方からの支援を行われたご経験から、「新しい公共」「チルドレン・ファースト」の二つの理念に言及。市民が社会貢献したいという想いを世界に向けて使うこと、NPOやボランティア、民間企業や自治体が一体となって仕組みを支えること、さらに未来を背負う子ども達の課題を解決する政策の重要性を伝えてくださいました。
支援の在り方のさまざまな形を、4人のスピーカーに駆け足でお話しいただいたところで、「ひとりひとりが当事者意識を持って他人事でなく自分事として考え、行動することが重要。この会議では、明日からできることをつかんで帰りましょう」と、ファシリテーターの大和田さんが呼びかけます。
土井 香苗さん
根本 かおるさん
大和田 瑞穂さん
その後は、子どもの支援をめぐる課題と、解決のために私たちにできる事へと話題が展開。「女性の支援は直接的に子どもの支援につながるが、いまだにジェンダーの問題がある。女の子の教育を支援しつづけるために、ぜひ、Raise Your Handのアクションに参加して」と城谷さんが訴えると、根本さんはコソボでの実績から「紛争解決などの糸口になるのはいつも女性。クオータ制でより多くの女性を国のトップに!」と力説。
一方、土井さんは、「10月に発表する日本の養護施設の子ども達の調査報告書に注目してほしい。そして、国に直接訴える、SNSで広めるなどのアクションを!」。「意思決定に関わる人のなかでの女性率を高めよう。NPO、NGOへの支援をしよう。サイトを覗いて、共感を覚えたらイベントに参加するなども支援の一つ」と、江端さん。
私たちにできる具体的なアクションや、考え方のヒントが目白押し。あっという間の1時間でした。最後の質疑応答タイムには、会場の高校生からの質問も。
参加された方ひとりひとりが、自分にできる支援の方法、貢献への手掛かりをつかんだに違いありません。
yonesuke さん
Because I am a Girlキャンペーンのお話を聞いて、昔のことを思い出した。「女に学問は必要ない。」これは、現在35歳の私が、学生時代ずっと親から言われてきたことだ。田舎で、家は貧しかった。親戚の中で大学に行った者は誰もいなかった。悔しかった。「今時、間違ってる。私は、絶対に勉強し続ける。」そう信じて、親の反対を無視して勉強した。私が未来を信じることができたのは、日本で生きてきたから。TVや雑誌で成功している女性がいることを知っていたから。大人になり、ちゃんと仕事を持てば、自分で自分を守りながら生きていけると信じられたから。
私の環境など、世界の子供達の境遇と並べて論じられるものではない。しかし、希望を持つことが難しく、閉塞感の中でもがいた子供時代だったから、今、世界で支援を必要とする子供達のことを、人事だと思えない。
会議の中で印象的だったのは、「子供にとって安心できる場所を提供する」ということ、「将来に希望を持ってもらうこと」の大切さ。講師の先生方が「まずは知って欲しい」と繰り返していらっしゃったこと。
プランジャパンのサポーターになって数年。チャイルドはわが子と年の変わらない女の子だ。私は、幸いにも恵まれた日本にいたから自立できた。だから世界の子供を引っ張りたいと改めて思った。
注)出演者の肩書きは開催当時のものです。