トークショー
女性が動かす経済

女性リーダーの少なさは危機的。日本の政治経済に、もっと変化を

高雄美紀Minori Takao

NHKワールド 英語ニュースキャスター

村上由美子Yumiko Murakami

OECD東京センター所長

午前のラストを飾るのは、女性リーダーによる英語でのトークショーです。まず、ファシリテーターの高雄美紀さんが「今、女性が本当に経済を動かしているのか」と問いかけると、「日本では、女性の労働力は増えています。しかし、決断する場には女性が少ない」と、女性リーダーの少なさを真っ先に挙げたのは村上由美子さん。さらに江田麻季子さんも「女性が介護や育児で基本的なポジションとなっているため、この危機的状況下で負担が増えている」と力説し、青山朝子さんも「多くの企業が危機モードになり、決断を急ぐ局面が増え、ダイバーシティが向上しなくなっている」と、現状の課題を取り上げました。

続いて、「この4人で会議の準備をしていたときに思いついた」というプレゼンテーションが展開されます。村上さん、江田さん、青山さんがそれぞれ一枚ずつ掲げたのは、カナダ、スペイン、そして日本の内閣の集合写真です。「どういうことに気づきますか?」と、高雄さんが参加者に呼びかけます。3か国の違いは歴然。女性閣僚の割合です。ダイバーシティが進んでいるカナダ、スペインに対し、日本はわずか8%。危機的状況が一目でわかります。

「本当にこれは2020年なんでしょうか」と、高雄さん。この状況を打破するために、村上さんは「とても困難で、先がわからない、正解もない。こんな時こそ、政治でもビジネスでもさまざまな提案をインプットすることが重要。非常にポジティブな変化が生まれるチャンスだと思います。例えばクオーター制は好まれない面もあるが、ソフトクオーターにするなど、もっとクリエイティブなアイデアがあるのでは」と提言します。

江田麻季子Makiko Eda

世界経済フォーラム 日本代表

青山朝子Asako Aoyama

日本電気株式会社 グローバルファイナンス本部長

江田さんからも「30年間も期待を込めて女性活躍の話をしてきたけれど、まだまだ私の努力が足りなかったかなと、腹が立っています。世界経済フォーラムのディスカッションパネルで話を決めるときには、ダイバーシティを常に考え、非白人男性を必ず入れます。多様な考えがないと、それはリスクになる。日本ももっと加速を」と力強いメッセージが。

青山さんは「私は5大陸のファイナンス部門を見る役職に就いたとき、これからは海外出張が増えて家族が犠牲になるかと心配になったけれど、コロナ禍のために日本にいたまま、各国のCFOとキャッチアップする仕組みを作れました。私も、いろいろな不安がある普通のお母さん。決して特別ではありません」と、一人ひとりに向けた個人の想いを語りました。

もっともジェンダーギャップが少ないアイスランドでは女性たちがどのように戦ったか、この危機的状況を変えるために私たちにできることとは、と活発に意見が交わされます。最後に、「自分たちだけではなくて、オープンな場所で発信して、一緒に克服して、Go Beyond!といきましょう」と高雄さん。「このカンファレンスの後、日本はどういう状況なのか、内閣を見てみてください。ダイバーシティが進んでいる国も、ここまでくるのにそんなに遠かったわけではありません」と、大切な課題が参加者に投げかけられました。

前の記事